Osimertinibの投与とOmmayaリザーバーからの髄液ドレナージが癌性髄膜炎の治療に有効だった高齢者非小細胞肺癌の1例

背景.癌性髄膜炎は予後不良で,従来の治療法の予後改善効果は限定的であると知られている.非小細胞肺癌の治療中に癌性髄膜炎を合併し,osimertinibの投薬とOmmayaリザーバーからの髄液のドレナージが有効だった1例を経験したので報告する.症例.78歳,女性.EGFR遺伝子変異陽性の左上葉肺腺癌(cT2aN3M1b,stage IV(肺癌取扱い規約第7版))に対する治療中に頭痛,嘔吐,認知機能低下が出現した.頭部CTで脳室拡大を認め,髄液細胞診で腺癌細胞を認めたことから,水頭症を伴う癌性髄膜炎と診断した.Osimertinibを投薬し,水頭症の症状緩和を目的としてOmmayaリザーバー留置術...

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Veröffentlicht in:肺癌 2019/06/20, Vol.59(3), pp.287-292
Hauptverfasser: 佐塚, まなみ, 筑井, 恵美子, 濱谷, 広頌, 野木森, 智江美, 山田, 浩和, 山本, 寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.癌性髄膜炎は予後不良で,従来の治療法の予後改善効果は限定的であると知られている.非小細胞肺癌の治療中に癌性髄膜炎を合併し,osimertinibの投薬とOmmayaリザーバーからの髄液のドレナージが有効だった1例を経験したので報告する.症例.78歳,女性.EGFR遺伝子変異陽性の左上葉肺腺癌(cT2aN3M1b,stage IV(肺癌取扱い規約第7版))に対する治療中に頭痛,嘔吐,認知機能低下が出現した.頭部CTで脳室拡大を認め,髄液細胞診で腺癌細胞を認めたことから,水頭症を伴う癌性髄膜炎と診断した.Osimertinibを投薬し,水頭症の症状緩和を目的としてOmmayaリザーバー留置術を施行し,髄液のドレナージを行ったところ,徐々に認知機能や身体機能の回復がみられ,1年以上にわたって病状の進行を抑制できた.結論.癌性髄膜炎による水頭症は認知機能や身体機能の低下を来すことがあり,治療困難となることがあるが,上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬,Ommayaリザーバーからの髄液のドレナージによって症状の緩和や予後の改善を得られる可能性が示唆された.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.59.287