肺線維症に重なる浸潤影のCT像を呈した肺扁平上皮癌の1例

背景. 肺線維症に合併する肺癌はしばしば浸潤影を呈し, その診断に苦慮する. 症例. 患者は68歳男性で, 発熱と咳噺を主訴に受診. CT上両側下葉胸膜下優位に蜂窩肺が認められ, 肺線維症の所見であり, 右下葉肺底区にはそれに重なる浸潤影が認められた. 喀疾細胞診では扁平上皮癌疑いと診断されたが, 喉頭にも上皮内癌があり, 肺野の浸潤影については肺線維症に合併した肺炎として抗菌薬投与にて治療された. しかし1ヵ月後の経過で浸潤影はわずかに増大傾向を示し, 腫瘍性病変が疑われた. 気管支鏡が施行され, 右B9・B10の気管支洗浄液の細胞診で扁平上皮癌が検出された. 以上より右下葉の浸潤影が扁平上...

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Veröffentlicht in:肺癌 2004/12/20, Vol.44(7), pp.785-789
Hauptverfasser: 斉藤, 彰俊, 小澤, 克良, 宮澤, 正久
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景. 肺線維症に合併する肺癌はしばしば浸潤影を呈し, その診断に苦慮する. 症例. 患者は68歳男性で, 発熱と咳噺を主訴に受診. CT上両側下葉胸膜下優位に蜂窩肺が認められ, 肺線維症の所見であり, 右下葉肺底区にはそれに重なる浸潤影が認められた. 喀疾細胞診では扁平上皮癌疑いと診断されたが, 喉頭にも上皮内癌があり, 肺野の浸潤影については肺線維症に合併した肺炎として抗菌薬投与にて治療された. しかし1ヵ月後の経過で浸潤影はわずかに増大傾向を示し, 腫瘍性病変が疑われた. 気管支鏡が施行され, 右B9・B10の気管支洗浄液の細胞診で扁平上皮癌が検出された. 以上より右下葉の浸潤影が扁平上皮癌の病変であると診断され, 右肺下葉切除術が施行された. 病理組織像では広範な線維化の中に充実性胞巣が散在する中分化型扁平上皮癌で, 壁側胸膜浸潤があり, T3NOMO, IIB期であった. 結論. 肺線維症に合併する肺癌の画像上の形態は, 正常肺に発生するものと異なることを念頭において診断すべきである.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.44.785