中性子結晶解析の進展が明らかにする酵素反応機構

「1. はじめに」生体高分子(主にタンパク質)の機能をその「形」から理解する「構造生物学」は, 放射光利用と遺伝子組換え技術が普遍的になった1990年代から生命科学研究の1つの核となり, 2000年以降の国家プロジェクト主導による網羅的解析を経て構造解析数は飛躍的に増加し, 今日(2020年12月)では17万を超える立体構造がProtein Data Bank(PDB)に登録されている. そのうち, X線結晶解析は最も普遍的に用いられている手法で, PDBに登録された構造の約9割の構造決定を担っている. 近年では, 種々の技術革新によりクライオ電子顕微鏡による単粒子解析の分解能が原子分解能に到...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:生物物理 2021, Vol.61(4), pp.216-222
Hauptverfasser: 河野, 史明, 栗原, 和男, 玉田, 太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」生体高分子(主にタンパク質)の機能をその「形」から理解する「構造生物学」は, 放射光利用と遺伝子組換え技術が普遍的になった1990年代から生命科学研究の1つの核となり, 2000年以降の国家プロジェクト主導による網羅的解析を経て構造解析数は飛躍的に増加し, 今日(2020年12月)では17万を超える立体構造がProtein Data Bank(PDB)に登録されている. そのうち, X線結晶解析は最も普遍的に用いられている手法で, PDBに登録された構造の約9割の構造決定を担っている. 近年では, 種々の技術革新によりクライオ電子顕微鏡による単粒子解析の分解能が原子分解能に到達し, その解析数もX線結晶解析に次ぐ数を占めるようになった. また, 単一ではなく複数の解析法を組み合わせ, それぞれの長所を利用した多面的な解析, いわゆる相関構造解析も一般的となっている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.61.216