1. ネフローゼ状態を呈し, 診断および治療に難渋した溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)の1例

【症例】11歳男児. 【既往歴】背部血管腫. 【家族歴】弟(7歳):無症候性血尿. 【臨床経過】2010年2月, 肉眼的血尿, 蛋白尿を認めたが, 自然軽快. 5月20日, 発熱, 咽頭痛, 肉眼的血尿, 蛋白尿(U-P/Cr 2.3)を認め, 入院. 咽頭培養でS. pyogenesを認めたが低補体血症はなく, 慢性腎炎の急性増悪と考えた. 抗菌剤投与と安静で軽快したため, 5月31日に退院. 6月2日, 7日に発熱と肉眼的血尿を認め, 6月14日に再入院. U-P/Cr 4.0, S-Alb 2.39/dlとネフローゼ状態で, 腎機能の低下(S-Cr 1.27mg/dlと一過性の補体の低下...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2012-04, Vol.25 (1), p.91-92
Hauptverfasser: 橋本淳也, 浅野貴子, 加藤環, 釜江智佳子, 野々山恵章, 尾田高志, 長田道夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】11歳男児. 【既往歴】背部血管腫. 【家族歴】弟(7歳):無症候性血尿. 【臨床経過】2010年2月, 肉眼的血尿, 蛋白尿を認めたが, 自然軽快. 5月20日, 発熱, 咽頭痛, 肉眼的血尿, 蛋白尿(U-P/Cr 2.3)を認め, 入院. 咽頭培養でS. pyogenesを認めたが低補体血症はなく, 慢性腎炎の急性増悪と考えた. 抗菌剤投与と安静で軽快したため, 5月31日に退院. 6月2日, 7日に発熱と肉眼的血尿を認め, 6月14日に再入院. U-P/Cr 4.0, S-Alb 2.39/dlとネフローゼ状態で, 腎機能の低下(S-Cr 1.27mg/dlと一過性の補体の低下も認めた. 6月22日, 第1回腎生検施行. 光顕では, 管内増殖が主体の像で, 4/9個の糸球体で半月体形成があり, 尿細管・間質にも高度の細胞浸潤を認めた. IFではC3のみ陽性. 電顕ではhumpなし. 免疫染色では, NAPlrとplasmin活性が陽性. 高度な炎症所見を伴うPSAGNと考え, ステロイドパルス療法および多剤併用療法(プレドニゾロン, ミゾリビン, ジピリダモール, ワーファリン)を実施. 7月下旬にはネフローゼ状態を脱したが, 治療開始6か月後も蛋白尿(U-P/Cr 0.7), 顕微鏡的血尿が遷延したため, 12月17日に第2回腎生検施行. 光顕では, メサンギウム増殖が主体で, 半月体形成や尿細管・間質の炎症像は改善していた. IFでC3陽性. PSAGNの回復期と考えられた. 2011年3月末に蛋白尿消失, 6月に血尿も消失し, 多剤併用療法を終了したが, 以後も再燃はない. 【考察】感染に伴う肉眼的血尿発作があり, 初回入院時には低補体血症を認めなかったことなどから, 慢性腎炎とPSAGNの合併を強く疑ったが, IgAの沈着はみられなかった. ネフローゼ状態を呈するPSAGNは稀で, 経過や病理所見も非典型的であったため, 報告する.
ISSN:0915-2245