6. Rituximabを使用した小児ABO血液型不適合腎移植例の2年間の経過~小児におけるrituximabの安全性と投与量について
【症例】14歳男児. 低異形成腎を原疾患として腎不全に至り, 12歳の時に腎移植を受けた. 母親からのA不適合移植で, rituximab 260mg/m2を2回投与し, 脾摘は行わなかった. 1回目のrituximab投与時に体温上昇と嘔気を認めたが, 投与速度を減じて再開した後の訴えはなかった. 移植後は順調な経過で, 2か月で退院した. 移植後7か月に帯状疱疹に罹患したが, MMFの中止とγ-globlin, acyclovirの投与で改善した. 8か月に, 形質細胞の浸潤が目立つ急性拒絶を認めた. 末梢血CD20陽性細胞は移植6か月間0.3%以下に抑制され, その後上昇したが, 免疫グ...
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Veröffentlicht in: | 日本小児腎臓病学会雑誌 2008, Vol.21 (1), p.254-254 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【症例】14歳男児. 低異形成腎を原疾患として腎不全に至り, 12歳の時に腎移植を受けた. 母親からのA不適合移植で, rituximab 260mg/m2を2回投与し, 脾摘は行わなかった. 1回目のrituximab投与時に体温上昇と嘔気を認めたが, 投与速度を減じて再開した後の訴えはなかった. 移植後は順調な経過で, 2か月で退院した. 移植後7か月に帯状疱疹に罹患したが, MMFの中止とγ-globlin, acyclovirの投与で改善した. 8か月に, 形質細胞の浸潤が目立つ急性拒絶を認めた. 末梢血CD20陽性細胞は移植6か月間0.3%以下に抑制され, その後上昇したが, 免疫グロブリンは1年間低値だった. 末梢血白血球数は, 移植後2か月の時点での3,400/μlを最低として, 以後減少は認めなかった. 【考察】Rituximabは, B細胞に発現しているCD20に対するモノクローナル抗体で, B細胞リンパ腫の治療に使用されている. 近年, 膠原病やFSGSを始めとしたネフローゼ症候群に対する効果も報告されるようになり, 今後, 腎疾患患児に対しても使用機会が増えると予想される. しかし, 小児例での長期的な副作用の報告はまだ少ない. 一般的に副作用は少ないとされているが, 重篤なものもあり, 今回の経験からも, 十分な理解と配慮が必要であると思われる. ゆえに, 適応も見極めなければならない. また腎疾患患児に対し, リンパ腫の治療と同じ投与量は過量ではないかの検討も今後必要と思われる. |
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ISSN: | 0915-2245 |