尿糖検査に及ぼすアスコルビン酸の影響

「はじめに」近年, 各種ビタミン, アミノ酸, 酵素などを含む健康飲料やサプリメントの需要は健康ブームやテレビ広告によって急速に増加している. たとえば, スポーツ飲料や機能性飲料の消費は2000年から2003年の3年間に約6倍増加し（民間調査資料）, サプリメントの売り上げは2002年に約1.5兆円であったが2006年には約3.5兆円に増加すると予想されている1）. これらの健康飲料やサプリメントは薬物性肝障害など直接健康障害を惹起するとともに2）, 臨床検査の測定系に影響することが知られている. たとえば, 尿試験紙法による尿検査は迅速で簡易なスクリーニング検査として汎用されているが, アスコルビン酸（ascorbic acid：AsA）によって亜硝酸塩, ビリルビン, 糖, 潜血の偽陰性を生じることが知られている3-7）. われわれは2002年に患者の16％に尿AsAが検出され, 尿ビリルビンがAsAによって偽陰性を惹起することを報告した8）.