保健行政・総合診療科の経験からみたこれからの地域医療・在宅ケア

「I. はじめに」2019年12月31日に中国武漢で「原因不明の肺炎」が発生した, との報道から始まり, その後新型コロナウイルス (COVID-19, 以下コロナ) と名付けられた. 2020年1月には中国・武漢への滞在歴がある男性が日本初の感染者となり, その後徐々に国内で感染拡大した. それまで, 住民の日常生活で話題に上ることがなかった保健所が, コロナ感染症をきっかけに一躍注目されるようになった. 業務量が多くなり時間外勤務者が続発し, 人員不足で業務が回らない, 猫の手も借りたいほど忙しい保健所となった. 保健所長として7年間を保健行政に従事した私は, 最後の1年をこのコロナ感染症に遭遇したことで, 忘れがたい保健所人生となった. 激務の時を一緒に走ってくれた保健所の職員, 全ての同志に対して感謝の念に堪えない. 「II. 久留米市保健所の紹介」久留米市は, 中核市移行を見据えて人口30万人以上の要件を満たすため, 2005年に4町 (城島, 三瀦, 田主丸, 北野) を合併し2008年に中核市となった.