良性耳下腺腫瘍に対する手術症例の検討: 16年間, 633例の検討
目的: 当科では, 良性耳下腺腫瘍に対して一定した診断および治療を施行してきた. その手術例が633症例に達したので, 診断, 治療上の問題点について検討した. 方法: 過去16年間に当科で手術を施行した良性耳下腺腫瘍症例633例を対象とした. そのうち初回手術症例が612例であった. 結果: 男性が288例, 女性が345例であった. 腫瘍の部位別では浅葉が342例, 下極が169例, 深葉が122例であった. 病理組織別にみると, 多形腺腫が372例で最も多く, ついでワルチン腫瘍が166例であり, 両組織型で全体の85%を占めた. 穿刺吸引細胞診 (FNA) による病理組織診断の正診率...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 2016/03/20, Vol.119(3), pp.196-203 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 目的: 当科では, 良性耳下腺腫瘍に対して一定した診断および治療を施行してきた. その手術例が633症例に達したので, 診断, 治療上の問題点について検討した. 方法: 過去16年間に当科で手術を施行した良性耳下腺腫瘍症例633例を対象とした. そのうち初回手術症例が612例であった. 結果: 男性が288例, 女性が345例であった. 腫瘍の部位別では浅葉が342例, 下極が169例, 深葉が122例であった. 病理組織別にみると, 多形腺腫が372例で最も多く, ついでワルチン腫瘍が166例であり, 両組織型で全体の85%を占めた. 穿刺吸引細胞診 (FNA) による病理組織診断の正診率は全体で71%であり, 病理組織別にみると, 多形腺腫では84%, ワルチン腫瘍で72%であった. 術後一時的顔面神経麻痺を来した症例は130例 (21%) であった. 部位別にみると浅葉では18%, 深葉では39%, 下極型では15%であった. 一時麻痺の要因を検討すると, 腫瘍の部位, 手術時間で有意差を認めた. 麻痺からの回復期間は, 腫瘍の部位に関係なく6カ月以内に90%の症例で回復した. 結論: FNA による術前組織診断は良好であるものの, その診断には限界があった. 深葉腫瘍は, 浅葉腫瘍や下極腫瘍と比較して有意に高い一時麻痺率であった. 顔面神経の一時麻痺からの回復期間を検討したところ, 90%の症例で6カ月以内に回復した. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.119.196 |