慢性副鼻腔炎における好酸球浸潤と気管支喘息の合併: 内視鏡下副鼻腔手術における予後因子として

慢性副鼻腔炎は, 内視鏡下鼻内手術 (Endoscopic Sinus Surgery, 以下ESSと略) とマクロライド療法の登場でその治療成績が飛躍的に進歩した. しかし, 今なお治療に抵抗する症例も少なくなく難治性副鼻腔炎と呼ばれている. 近年, 好酸球性副鼻腔炎という概念が浸透し, この副鼻腔粘膜に浸潤する好酸球が難治性を解明するために重要であるという考え方がある. 一方, 気管支喘息が合併する副鼻腔炎はその術後成績が不良であるとする報告は国内外で多数見られ, これも難治性を解明する主要因子の一つである. 今回われわれは, 京都府立医科大学および京都第二赤十字病院耳鼻咽喉科で慢性副鼻腔...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2008, Vol.111(2), pp.58-64
Hauptverfasser: 出島, 健司, 足立, 直子, 大嶋, 章裕, 西村, 泰彦, 牛嶋, 千久, 内田, 真哉, 濱, 雄光, 久, 育男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:慢性副鼻腔炎は, 内視鏡下鼻内手術 (Endoscopic Sinus Surgery, 以下ESSと略) とマクロライド療法の登場でその治療成績が飛躍的に進歩した. しかし, 今なお治療に抵抗する症例も少なくなく難治性副鼻腔炎と呼ばれている. 近年, 好酸球性副鼻腔炎という概念が浸透し, この副鼻腔粘膜に浸潤する好酸球が難治性を解明するために重要であるという考え方がある. 一方, 気管支喘息が合併する副鼻腔炎はその術後成績が不良であるとする報告は国内外で多数見られ, これも難治性を解明する主要因子の一つである. 今回われわれは, 京都府立医科大学および京都第二赤十字病院耳鼻咽喉科で慢性副鼻腔炎に対してESSを施行した180例に対して, その術後成績を検討した. 症例を好酸球浸潤が多いか否かと気管支喘息合併の有無で分け, この4群で比較検討した. その結果, 最もESS術後成績が不良であったのは, 好酸球浸潤が多く気管支喘息を合併した群であった. 一方, 気管支喘息が合併していない症例群では, 好酸球浸潤中の多寡による予後の差はなく, 概ね良好であることが明らかとなった. 好酸球浸潤が多い副鼻腔炎では, その成績は気管支喘息の合併の有無に大きく左右されることがわかった. 気管支喘息の合併が難治性の解明に向けて最も重要な予後因子であると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.111.58