下咽頭癌および前癌病変のサイトケラチン発現性に関する免疫組織化学的研究

「1. 緒言」 下咽頭癌の治療成績はきわめて不良で, 早期発見が望まれるのであるが, 自覚症状が乏しい故になかなか困難である. そこで, スクリーニング用のフード付き下咽頭ファイバースコープが開発され1), 外来診療中には行い得なかった下咽頭腔の精査が簡単な塗布麻酔だけでやれるようになったことは大いなる進歩である. これによって疑わしい病変を認めれば, 全身麻酔下の硬性鏡検査により生検組織を採取して病理組織学的に精査することになる. ところが, 病理組織所見を的確に判定することは必ずしも簡単なことではない. 特に, 前癌病変と癌の鑑別および癌の分化度の判定については, パラフィン切片標本のHE...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1991-02, Vol.94 (2), p.183-285
Hauptverfasser: 村上泰, 安田範夫, 斉藤裕子, 任書熹, 中井茂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 緒言」 下咽頭癌の治療成績はきわめて不良で, 早期発見が望まれるのであるが, 自覚症状が乏しい故になかなか困難である. そこで, スクリーニング用のフード付き下咽頭ファイバースコープが開発され1), 外来診療中には行い得なかった下咽頭腔の精査が簡単な塗布麻酔だけでやれるようになったことは大いなる進歩である. これによって疑わしい病変を認めれば, 全身麻酔下の硬性鏡検査により生検組織を採取して病理組織学的に精査することになる. ところが, 病理組織所見を的確に判定することは必ずしも簡単なことではない. 特に, 前癌病変と癌の鑑別および癌の分化度の判定については, パラフィン切片標本のHE染色による形態的評価法2)~4)としてすでに確立されてはいるものの, 検者の主観によるところも確かに多い. 優れた病理医の判定は一致することが多いのは事実だが, 必ずしも客観的評価法とは言い難い. 病理組織診断においてHE染色標本の詳細な観察が基本であることは言うまでもないが, さらに何らかのより客観的な診断法の開発が望まれる.
ISSN:0030-6622