大腸内視鏡検査で生検診断し得たS状結腸子宮内膜症の1例

「はじめに」子宮内膜症は, 子宮内膜あるいはその類似組織が異所性に増殖する非腫瘍性疾患で, 異所性子宮内膜が腸管に存在する場合を腸管子宮内膜症と呼んでいる. 今回われわれは生検診断し得たS状結腸子宮内膜症の1例を経験したので報告する. 「症例」患者: 40歳, 女性. 主訴: 便秘, 排便時出血. 既往歴: 特記すべきことなし. 現病歴: 3カ月前から月経前に便秘気味となり, また, 月経2～3日前から排便時に出血が認められたため当院外来を受診した. 身体所見: 身長155cm, 体重65kg, 体温36.0℃, 眼瞼結膜に貧血なく, 腹部に異常所見なし. 検査成績: 貧血を認めず, LDLコレステロール, CRPが軽度上昇していた. 下部消化管内視鏡所見: 肛門縁から20cmのS状結腸に表面は比較的平滑でやや拡張, 蛇行した血管を伴うなだらかな隆起を認めた.