演題30 胆嚢悪性線維性組織球腫の1例
胆嚢原発の悪性線維性組織球腫(MFH)は極めて稀である. 我々は本邦5例目と思われる胆嚢のMFHを経験したので報告する. 【経過】症例は77歳の男性. 昭和63年3月微熱と右季肋部痛が出現し5月13日他医を受診したが放置. 6月初旬右季肋部腫瘤を自覚. 6月19日安静時に突然強い右季肋部痛が出現し, 翌日入院となった. 【検査所見】USにて胆嚢が18cm×12cmと腫大し, 壁の不規則な肥厚, 内部に結石を認め, 可動性のある微細点状ないし帯状エコーから出血, 壊死, フィブリンの存在を疑った. CTでは正常胆嚢を同定できず, S4, S5から肝外にかけて不均一なlow densityの巨大腫...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1989, Vol.3 (3), p.308-308 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 胆嚢原発の悪性線維性組織球腫(MFH)は極めて稀である. 我々は本邦5例目と思われる胆嚢のMFHを経験したので報告する. 【経過】症例は77歳の男性. 昭和63年3月微熱と右季肋部痛が出現し5月13日他医を受診したが放置. 6月初旬右季肋部腫瘤を自覚. 6月19日安静時に突然強い右季肋部痛が出現し, 翌日入院となった. 【検査所見】USにて胆嚢が18cm×12cmと腫大し, 壁の不規則な肥厚, 内部に結石を認め, 可動性のある微細点状ないし帯状エコーから出血, 壊死, フィブリンの存在を疑った. CTでは正常胆嚢を同定できず, S4, S5から肝外にかけて不均一なlow densityの巨大腫瘤があり, 周囲臓器を圧排し, 浸潤が疑われた. また血管造影では拡張した胆嚢動脈から著しく開大して浅在枝と深在枝が分かれ, 胆嚢床には濃染像を認めた. 入院後右季肋部の腫瘤は急激に増大したが, 黄疸は出現せず, 貧血のため輸血を必要とした. また腫瘍マーカーとしてはフェリチンが790ng/dlと高値だった. 以上より非定型的だが胆嚢癌と診断し, 肝切除+膵頭十二指腸切除の予定で7月19日に手術を施行した. 【手術および組織学的所見】開腹すると胆嚢原発の巨大な腫瘍が肝床部に浸潤し, 横行結腸とその間膜, 大網, 十二指腸, 肝十二指腸間膜と線維性に癒着していた. 腫瘍は柔らかく約800mlの血液を吸引したのち, 肝1/2 S4・S5切除を伴う胆嚢切除, リンパ節郭清を施行した. 切除重量は1300grで, 腫瘍の大きさは19.5cm×17cm×12.6cm, 術中迅速病理にて胆嚢肉腫, S2, H0, B0, P0, Hinf3, N1(+)によって相対的非治癒切除となった. 腫瘍の内腔には2個の径約1.5cmのコレステロール結石があり, 乳白色スポンジ様の壊死物質と血液で満たされ, 壁にviableな腫瘍を認めた. 病理組織学的検査により著明なリンパ球浸潤があり, 組織球様の細胞がstoriform patternを呈し, アンチキモトリプシン染色陽性などからinflammatory typeのMFHと診断された. また摘出したリンパ節には転移を認めなかった. 患者は肝切離面(肝床部断端)HW1のため放射線療法を施行後外来通院しており, 術後8か月健在である. 【結語】MFHは軟部組織に好発するが, 胆嚢原発のものは本邦では現在までに4例報告され, 1例のみ切除できたが術後79日目に死亡している. 本症例は5例目と思われ唯一切除生存中のものである. 若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0914-0077 |