演題70 総胆管末端部に瘤状拡張を伴った胆道癌併存先天性胆道拡張症の検討
先天性胆道拡張症(以下CBD)で高頻度に胆道癌が併存することはよくしられている. 最近15年間に教室で経験したCBDは25例で, 胆道癌併存例は4例, うち2例は総胆管末端部に瘤状の拡張を伴うまれな形態を呈した. これら2例について報告するとともに, CBD症例の胆汁中アミラーゼ, 胆汁中リゾレシチン/リン脂質比(以下リゾレシチン)について検討した. 53歳, 女性. 上腹部不快感を主訴に近医を受診. 腹部USで胆嚢ポリープを指摘され, 手術目的で当科入院. 入院時, 貧血, 黄疸はなく, 腹部に異常を認めなかった. 腹部US, CTスキャン, 選択的肝動脈造影の所見から胆嚢癌と診断した....
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Veröffentlicht in: | 胆道 1988, Vol.2 (3), p.367-367 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 先天性胆道拡張症(以下CBD)で高頻度に胆道癌が併存することはよくしられている. 最近15年間に教室で経験したCBDは25例で, 胆道癌併存例は4例, うち2例は総胆管末端部に瘤状の拡張を伴うまれな形態を呈した. これら2例について報告するとともに, CBD症例の胆汁中アミラーゼ, 胆汁中リゾレシチン/リン脂質比(以下リゾレシチン)について検討した. 53歳, 女性. 上腹部不快感を主訴に近医を受診. 腹部USで胆嚢ポリープを指摘され, 手術目的で当科入院. 入院時, 貧血, 黄疸はなく, 腹部に異常を認めなかった. 腹部US, CTスキャン, 選択的肝動脈造影の所見から胆嚢癌と診断した. また, ERCPで総胆管末端部に瘤状の拡張を認めた. 手術は胆嚢摘出, 肝床切除術, およびR2のリンパ節郭清を行った. 組織学的には一部漿膜下層に至る高分化型腺癌であった. 59歳, 男性. 心窩部痛と発熱を主訴に近医を受診. 胃内視鏡検査でIIc型早期胃癌を指摘され, 手術目的で当科入院. 入院時, 右季肋下に腫瘤を触知し, 腹部US, CTスキャンでCBDと診断した. また, ERCPで戸谷分類のIV-A型に加え総胆管末端部に瘤状拡張を認めた. 手術は胃亜全摘, 胆嚢摘出, 嚢腫切除, 左右肝管空腸吻合術を行った. 嚢腫の切除標本で左肝管に約1.5×1×0.2cm大の扁平な隆起性病変を認めた. 組織学的には一部線維筋層に至る中分化型腺癌であった. また, 胃の切除標本には体部前壁に1.5×1.7cm大の粘膜内にとどまる高分化型腺癌を認めた. 膵液の胆道内逆流はCBDと胆道癌が併存する原因の1つと考えられている. そこで, CBDの自験例25例中, 胆汁中アミラーゼ, リゾレシチンを各11例, 9例に測定し, 合流異常のない胆石症15例を対照として比較検討した. CBDの胆汁中アミラーゼは11例中9例が高値であったが, 対照で高値例はなかった. 今回報告した2例も症例1が52410IU/l, 症例2が629000IU/lと高値であった. 胆汁中リゾレシチンは対照ではほとんどリゾレシチンが検出されないのに対しCBDでいずれも高く, 症例1, 2では各54.0%, 97.3%であった. 一般に胆管瘤型CBDには膵・胆管合流異常は併存しないといわれており, 症例1, 2でも膵・胆管合流異常の診断基準(案)に合致する合流異常を認めなかった. しかし, 今回の検討で総胆管末端部の瘤状拡張例でも膵液の胆道内逆流を示唆する結果が得られた. このことより, 瘤状拡張例においても機能的には合流異常と同じような病態が存在する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0914-0077 |