演題114 早期胆管癌の肉眼形態と進展形式・予後

早期胆管癌の定義は未だ決定されていないが, 癌が胆管壁内(afまで)にとどまるものを早期胆管癌として, その肉眼形態, 進展形式, 予後につき検討したので報告する. 昭和48年より昭和62年12月までの胆管癌切除例は64例である. これらのうち, 深達度がafまでにとどまる9例(fm4例, af5例)を対象とした. 肉眼形態は, 乳頭型2例, 乳頭浸潤型3例, 結節型1例, 結節浸潤型2例, 表層拡大型1例であった. これらを以下の3群に分けて, 進展形式, 予後などについて述べる. 1. 乳頭・乳頭浸潤型(5例):組織型では, 乳頭浸潤型の1例がporで, 残る4例はpapであった. 深...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:胆道 1988, Vol.2 (3), p.326-326
Hauptverfasser: 児嶋哲文, 加藤紘之, 金子行宏, 金谷聡一郎, 中村豊, 坂入隆人, 安友紀幸, 奥芝俊一, 下沢英二, 田辺達三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:早期胆管癌の定義は未だ決定されていないが, 癌が胆管壁内(afまで)にとどまるものを早期胆管癌として, その肉眼形態, 進展形式, 予後につき検討したので報告する. 昭和48年より昭和62年12月までの胆管癌切除例は64例である. これらのうち, 深達度がafまでにとどまる9例(fm4例, af5例)を対象とした. 肉眼形態は, 乳頭型2例, 乳頭浸潤型3例, 結節型1例, 結節浸潤型2例, 表層拡大型1例であった. これらを以下の3群に分けて, 進展形式, 予後などについて述べる. 1. 乳頭・乳頭浸潤型(5例):組織型では, 乳頭浸潤型の1例がporで, 残る4例はpapであった. 深達度はfmが4例, afが1例であった. 5例ともn0であった. 脈管浸潤は乳頭浸潤型(por, af)の一例にly1を認めたが, 他の4例は脈管浸潤を認めなかった. 神経周囲浸潤は認めなかった. 5例とも主病巣に連続する粘膜進展ないしはskip lesionを認め, 上部胆管原発の2例はhw2となり非治癒切除となった. このうち, 1例は15ヶ月目に局所再発死したが, 残る1例は60Coによる外照射50Gyを施行しており24ヶ月目の現在再発の兆なく健在である. 乳頭浸潤型(por, af, ly1)の1例が29ヶ月目に, Virchow転移, 後腹膜再発, 肝転移にて死亡した. 残る2例は, 1例が入院死亡, 1例が65ヶ月目で生存中である. 2. 結節・結節浸潤型(3例):組織型では, 結節型の1例がtub2, 結節浸潤型の2例がtub1, porであった. 深達度はいずれもafであった. 3例ともn0であり, 脈管浸潤もなかったが, 2例で神経周囲浸潤がみられ, 各々, pn1, pn3 1例づつであった. 3例の内, 結節浸潤型(tub1, af, pn3)の1例が71ヶ月目に肝転移, 骨転移にて死亡した. 2例は4ヶ月, 48ヶ月の現在健在である. 3. 表層拡大型(1例):組織型はtub1で, 局在はBmis C Gnと広範であるが, 深達度は殆どの場所でmであり, 胆嚢管合流部で一部fmであった. n0, ly0, v0, pn0であった. 本症例には, 術前にPTCSを行ない, 深達度の浅い表層拡大型と考え肝外胆管全切除術を施行し, 23ヶ月目の現在健在である. 乳頭・乳頭浸潤型では, 癌が粘膜に連続性に進展したり, skip lesionをみるので, 術前の正確な診断が治癒切除のために重要である. hw2の1例に60Co外照射が有効であった. 結節・結節浸潤型では深達度が3例共afで, pn(+)例が2例みられ1例が再発死した. 又, 深達度が殆どmである表層拡大型の1例を報告した.
ISSN:0914-0077