小児期口腔内に存在する微量元素の濃度と齲蝕罹患状況に関する研究

微量元素は生体内に微量に存在する元素であり,アルミニウム,銅,マンガン,亜鉛などが挙げられる。これら微量元素は主に食物や飲料水により体内に摂取されるが,欠乏や過剰摂取により障害や疾患を引き起こす微量元素が存在することが知られている。本研究では,乳歯エナメル質を対象に,pH 6.2 またはpH 5.5 の酸性環境下にてエナメル質表面の単位面積当たりから溶出するアルミニウム濃度を測定し,患児の齲蝕罹患状況に基づいて濃度を比較した。その結果,pH 5.5 において,齲蝕経験歯から溶出したアルミニウム濃度が齲蝕未経験歯から溶出したアルミニウム濃度よりも有意に高値を示した。さらに,齲蝕未経験歯を対象に,...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2018/06/25, Vol.56(3), pp.361-366
1. Verfasser: 渡辺, 幸嗣
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:微量元素は生体内に微量に存在する元素であり,アルミニウム,銅,マンガン,亜鉛などが挙げられる。これら微量元素は主に食物や飲料水により体内に摂取されるが,欠乏や過剰摂取により障害や疾患を引き起こす微量元素が存在することが知られている。本研究では,乳歯エナメル質を対象に,pH 6.2 またはpH 5.5 の酸性環境下にてエナメル質表面の単位面積当たりから溶出するアルミニウム濃度を測定し,患児の齲蝕罹患状況に基づいて濃度を比較した。その結果,pH 5.5 において,齲蝕経験歯から溶出したアルミニウム濃度が齲蝕未経験歯から溶出したアルミニウム濃度よりも有意に高値を示した。さらに,齲蝕未経験歯を対象に,それらの歯を提供した被険児の口腔内に存在する齲蝕歯数に基づいて溶出アルミニウム濃度を比較したところ,被険児の口腔内に齲蝕歯が多く存在する小児から得られた歯から有意に高値のアルミニウムが溶出した。同様に,齲蝕経験歯を対象にアルミニウム溶出濃度を比較したところ,齲蝕歯の多い被険児において有意に高値のアルミニウムが溶出した。このことから,pH 5.5 において,齲蝕感受性の高い小児の乳歯エナメル質からより多くのアルミニウムが溶出することが示唆された。この他,我々の過去の研究で得られた,混合唾液中の銅およびストロンチウムの濃度と被険児の齲蝕罹患状況について明らかとなった知見を報告する。
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd.56.3_361