18 上顎第一大臼歯の歯冠形態異常と部分的歯牙の先天欠如を伴う姉妹の症例

全身的・局所的要因による歯冠の形態異常及び歯の先天欠如は, 日常の歯科臨床においてしばしば認められ, 咬合誘導の点からも問題となることが多い. 歯の先天欠如の発生頻度は本邦において乳歯で0.4~1.0%, 永久歯で3,0~6.0%である. 原因として遺伝, 内分泌疾患, 外胚葉組織の発育不全, 妊娠中の母体の栄養欠如などさまざまな要因が考えられている. 最近, ある種の転写因子の点変異により歯の先天欠如が生じるとの報告もなされている. 今回我々は, 家族性に認められた乳歯及び永久歯の先天欠如と, 上顎第1大臼歯の形態異常を伴う症例を経験したので報告する. [症例]:昭和57年10月5日生女児(...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1997, Vol.35 (1), p.181-181
Hauptverfasser: 福本敏, ホーン裕子, 常岡亜矢, 細矢由美子, 後藤讓治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:全身的・局所的要因による歯冠の形態異常及び歯の先天欠如は, 日常の歯科臨床においてしばしば認められ, 咬合誘導の点からも問題となることが多い. 歯の先天欠如の発生頻度は本邦において乳歯で0.4~1.0%, 永久歯で3,0~6.0%である. 原因として遺伝, 内分泌疾患, 外胚葉組織の発育不全, 妊娠中の母体の栄養欠如などさまざまな要因が考えられている. 最近, ある種の転写因子の点変異により歯の先天欠如が生じるとの報告もなされている. 今回我々は, 家族性に認められた乳歯及び永久歯の先天欠如と, 上顎第1大臼歯の形態異常を伴う症例を経験したので報告する. [症例]:昭和57年10月5日生女児(姉) 昭和59年7月17日生女児(妹) [主訴]:歯数異常 [家族歴]:母が下顎中切歯の先天欠如であること以外特記事項なし [全身的既往歴]:特記事項なし [口腔内所見]:乳歯列において, 姉は B+B ̄の, 妹は BTB の先天欠如が認められた. 永久歯列において, 姉は 2⊥2 および 2+2 ̄の, 妹は 2T2 の先天欠如を認める. 姉の上顎第1大臼歯は, 舌側溝が不明瞭であり, 系統発生学的退化傾向が認められる. また, 妹の上顎第1大臼歯は左右とも近遠心逆形態を有する. また, 姉妹とも多数歯にわたる萌出遅延も認められた. 本症例は, 姉妹に認められた上顎第1大臼歯の形態異常, 歯の先天欠如および萌出遅延を伴う症例である. なお, 本症例は, 全身疾患や全身的異常を伴う症候群と類似した臨床所見も認められない. しかし, 歯の発生および形態形成を考える上から重要な症例と考えられる. 現在, 乳歯が残存し, 混合歯列期にある. 今後, 歯の形態異常, 先天欠如に起因する咬合障害を生じる可能性も考えられるため, 注意深い経過観察が必要になる.
ISSN:0583-1199