救急搬送時を想定した加速度による血圧変動の解析: 身体部位間の相違の推定

救急車の加速度運動に伴い,傷病者の血圧が変動する.本研究では,このような加速度に由来する血圧変動の身体部位間の違いを推定することを目的とした.まず,コンピュータ制御式の傾斜ベッドを利用し,被験者の左腕の位置を変えながら,脳内動脈,鎖骨下動脈,上肢末梢血管で起こる血圧変動をシミュレートした.このシミュレーションを,健常被験者15名に対して,3種類の位置と5種類の加速度パターンの組み合わせからなる計15通りの条件の下で繰り返し行った.続いて,異なる位置で測定された左手の指尖血圧から,平均血圧と瞬時脈拍数の増減量の相加平均を0.01秒ごとに求めた.これらを比較することで,血圧変動が前庭-動脈圧反射の...

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Veröffentlicht in:人間工学 2017/12/15, Vol.53(6), pp.195-204
Hauptverfasser: 小野, 貴彦, 吉栖, 正生
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:救急車の加速度運動に伴い,傷病者の血圧が変動する.本研究では,このような加速度に由来する血圧変動の身体部位間の違いを推定することを目的とした.まず,コンピュータ制御式の傾斜ベッドを利用し,被験者の左腕の位置を変えながら,脳内動脈,鎖骨下動脈,上肢末梢血管で起こる血圧変動をシミュレートした.このシミュレーションを,健常被験者15名に対して,3種類の位置と5種類の加速度パターンの組み合わせからなる計15通りの条件の下で繰り返し行った.続いて,異なる位置で測定された左手の指尖血圧から,平均血圧と瞬時脈拍数の増減量の相加平均を0.01秒ごとに求めた.これらを比較することで,血圧変動が前庭-動脈圧反射のような加速度の突然の変化に由来する反射,動脈圧受容器反射,加速度の血液への力学的作用の重畳による変動として説明できることを示した.血圧変動量のピークピーク値から,加速度の血圧への影響は,鎖骨下動脈,上肢末梢血管,脳内動脈の順に大きくなることが示唆された.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.53.195