吸収性ガッタパーチャを移植したラット脛骨の組織学的観察

目的 : 垂直加圧根管充塡を行った場合, 樋状根管や根管側枝への充塡が可能となりうる一方, 過剰根管充塡となりやすい. 根尖孔外に溢出してしまったこれらのガッタパーチャが, どのような組織反応を惹起し, どのような挙動を示すのかは, 明確にされていない. そこで今回, 垂直加圧充塡で使用される吸収性のガッタパーチャの骨組織内における変化を明らかにすることを目的として, 吸収性および従来の非吸収性のガッタパーチャをそれぞれラットの脛骨に移植することで, 周囲の骨組織の反応を観察し, 検討を試みた.  材料と方法 : 実験は15匹の6週齢の雌SD系ラットの脛骨に対して行った. ステンレススチール製...

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Veröffentlicht in:日本歯科保存学雑誌 2015, Vol.58(2), pp.157-163
Hauptverfasser: 髙橋, 哲哉, 門倉, 弘志, 井出, 祐樹, 上田, 堯之, 鈴木, 瑛子, 中村, 裕子, 横瀬, 敏志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的 : 垂直加圧根管充塡を行った場合, 樋状根管や根管側枝への充塡が可能となりうる一方, 過剰根管充塡となりやすい. 根尖孔外に溢出してしまったこれらのガッタパーチャが, どのような組織反応を惹起し, どのような挙動を示すのかは, 明確にされていない. そこで今回, 垂直加圧充塡で使用される吸収性のガッタパーチャの骨組織内における変化を明らかにすることを目的として, 吸収性および従来の非吸収性のガッタパーチャをそれぞれラットの脛骨に移植することで, 周囲の骨組織の反応を観察し, 検討を試みた.  材料と方法 : 実験は15匹の6週齢の雌SD系ラットの脛骨に対して行った. ステンレススチール製ラウンドバーを使用して皮質骨に穴を開け, 骨髄の中に直径1.0mm (±0.1mm) に丸めたガッタパーチャを移植した. 吸収性のガッタパーチャとしてオブチュレーションガッタNT (ヨシダ, 以下, AGとする) を, 非吸収性のガッタパーチャとしてガターパーチャポイント (ジーシー, 以下, NAGとする) を使用した. 術後1, 2, 4週のそれぞれ5匹のラットから脛骨を摘出して試料とした. 試料は10%中性緩衝ホルマリン液を使用して固定を行い, EDTAにて脱灰後, 通法に従いパラフィン包埋して連続切片を作製した. 各切片はヘマトキシリン-エオジン染色して組織学的に検索を行った.  成績 : ラット脛骨の骨組織に移植したAGは, 移植後1週で周囲に細胞浸潤を伴う線維性の結合組織で覆われていた. 移植後2週目には材料の周囲に骨形成が認められた. 移植後4週目には線維性結合組織がガッタパーチャの内部に侵入し, 骨組織の形成が認められるようになった. 一方, NAGの周囲には細胞の浸潤はわずかであった. 移植後2週目にはAGと同様に材料周囲に骨組織が形成された. しかし, 骨組織の形成はAGと比較して限局的であった. また, 観察期間中では材料の吸収は全く確認されなかった.  結論 : 吸収性のガッタパーチャは細胞浸潤を伴う線維性結合組織で覆われるが吸収されて, 線維性結合組織の増殖とともにやがて骨組織に置換されるという組織変化が明らかとなった.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.58.157