原因不明の腹痛の既往のあった左傍十二指腸ヘルニアの1例 ―本邦での集計

「要旨」幼少時より腹痛を繰り返し, 原因不明とされてきたが, 腹痛増強時のCTで左傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し治癒できた症例を経験したので報告する. 症例は64才の女性. 腹痛を発症した第1病日から第4病日にかけて精査をされたが原因を特定できなかった. しかし第9病日に再び腹痛が増強し, CTを施行したところ上記診断. 同日開腹手術を施行. 左十二指腸空腸窩に5×2.5cmのヘルニア門を有し, ヘルニア嚢は大きさ14×7×7cmで下腸間膜静脈の後方を通り左下方の下行結腸間膜の背側に広がっていた. ヘルニア内容は空腸起始部から110cmであったが, 壊死には至っておらず温存でき...

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Veröffentlicht in:島根医学 2010-03, Vol.30 (1), p.52-57
Hauptverfasser: 林彦多, 服部晋司, 藤井敏之, 小藤宰, 五十嵐雅彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」幼少時より腹痛を繰り返し, 原因不明とされてきたが, 腹痛増強時のCTで左傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し治癒できた症例を経験したので報告する. 症例は64才の女性. 腹痛を発症した第1病日から第4病日にかけて精査をされたが原因を特定できなかった. しかし第9病日に再び腹痛が増強し, CTを施行したところ上記診断. 同日開腹手術を施行. 左十二指腸空腸窩に5×2.5cmのヘルニア門を有し, ヘルニア嚢は大きさ14×7×7cmで下腸間膜静脈の後方を通り左下方の下行結腸間膜の背側に広がっていた. ヘルニア内容は空腸起始部から110cmであったが, 壊死には至っておらず温存できた. 術後経過は良好で術後10日目に退院した. 術後, 1年半以上経過したが, 再発もなく, 腹痛を繰り返すことも無くなった. まれな臨床的経験であったと考え, 報告に意義があると考えた. 「緒言」
ISSN:0559-829X