自己注目と不安の関連に対する自尊心の媒介効果の検討――WellsのS-REFモデルの視点から

Wells & Matthewsは,不安の生起プロセスを説明するに当たり,自己注目の概念を拡張したS-REFモデルを提起している。このモデルを概観すると,自己注目と不安の関連は自尊心に媒介されている可能性があるが,そのような媒介プロセスを検討した研究は見当たらない。したがって,本研究ではその検証を行うことを主な目的とした。加えて,先行研究を参考にネガティブ・ライフイベント,性差を組み入れた不安の発生,増大に関するモデルも構築し,その検証を行った。分析の結果,自尊心が不安と自己注目の関連を部分媒介していることが示された。さらに,ネガティブな出来事を経験することが,自己注目を不適応的に機能...

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Veröffentlicht in:パーソナリティ研究 2017/11/01, Vol.26(2), pp.129-139
Hauptverfasser: 向井, 秀文, 高岸, 幸弘, 杉浦, 義典, 柴山, 謙二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Wells & Matthewsは,不安の生起プロセスを説明するに当たり,自己注目の概念を拡張したS-REFモデルを提起している。このモデルを概観すると,自己注目と不安の関連は自尊心に媒介されている可能性があるが,そのような媒介プロセスを検討した研究は見当たらない。したがって,本研究ではその検証を行うことを主な目的とした。加えて,先行研究を参考にネガティブ・ライフイベント,性差を組み入れた不安の発生,増大に関するモデルも構築し,その検証を行った。分析の結果,自尊心が不安と自己注目の関連を部分媒介していることが示された。さらに,ネガティブな出来事を経験することが,自己注目を不適応的に機能させる要因の一つである可能性が示唆された。これらの結果から,不安に対する介入では,注意機能を直接的に改善する技法を用いて自己注目の高さを抑制しつつ,対象者が自尊心を高めることができるよう治療者が関わることの重要性が示唆された。
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.26.2.8