高度侵襲消化器外科手術における潜在的菌血症の臨床的意義

高度侵襲消化器外科手術では,術後感染性合併症の制御が大きな課題である.臨床の現場では,画像検査などで明らかな感染のフォーカスがなく,血液培養検査でも細菌が検出されていないのにもかかわらず,熱発や炎症反応高値が見られることをよく経験する.おそらくこの病態の多くが,あるいは少なくとも一部は血液培養で検出されない程度の微量の細菌が血中に存在する潜在的菌血症であると推測される.われわれは少なくとも消化器外科手術においては,その原因の多くが手術侵襲に伴う腸内細菌叢の乱れや,腸管バリア機能の破綻により宿主の腸内細菌が血液中やリンパ液中に入り込むことによる潜在的バクテリアルトランスロケーション(OB‐T,o...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:外科と代謝・栄養 2022/10/15, Vol.56(5), pp.181-185
1. Verfasser: 横山, 幸浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:高度侵襲消化器外科手術では,術後感染性合併症の制御が大きな課題である.臨床の現場では,画像検査などで明らかな感染のフォーカスがなく,血液培養検査でも細菌が検出されていないのにもかかわらず,熱発や炎症反応高値が見られることをよく経験する.おそらくこの病態の多くが,あるいは少なくとも一部は血液培養で検出されない程度の微量の細菌が血中に存在する潜在的菌血症であると推測される.われわれは少なくとも消化器外科手術においては,その原因の多くが手術侵襲に伴う腸内細菌叢の乱れや,腸管バリア機能の破綻により宿主の腸内細菌が血液中やリンパ液中に入り込むことによる潜在的バクテリアルトランスロケーション(OB‐T,occult‐bacterial translocation)であると考えている.本稿では,高度侵襲消化器外科手術を受ける患者を対象に行ったO‐BTに関するいくつかの臨床研究の結果を紹介し,その臨床的意義および今後の課題について概説する.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.56.5_181