人工脳硬膜及び高濃度ジブチルスズ含有人工硬膜のラット頭蓋内埋め込みによる神経毒性評価

[背景]:近年, ポリ乳酸ラクチドを主成分とする吸収性の人工脳硬膜が開発され, 感染や再手術のリスクを回避するものとして期待されている. しかし合成には触媒として毒性のあるジブチルスズ(DBT)が使用され残存する. そこで人工脳硬膜の安全性評価を確立するための基礎資料を得ることを目的にモデル実験を行った. [方法]:直径約4mmの人工脳硬膜及びDBTを高濃度(100ppm)含んだポリ乳酸ラクチドポリマーの膜をそれぞれ, ラットの頭蓋に直径5mmの穴を開ける手術で埋め込み, 神経系への影響を代表的な行動学試験, オープンフィールド試験及びprepulse inhibition(PPI)テスト,...

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Veröffentlicht in:北里医学 2012-06, Vol.42 (1), p.67-67
Hauptverfasser: 角田正史, 池内龍太郎, 辻雅善, 井上葉子, 伊藤京子, 片桐裕史, 秋田久直, 佐治眞理, 柚場俊康, 山田貴史, 土屋利江, 相澤好治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:[背景]:近年, ポリ乳酸ラクチドを主成分とする吸収性の人工脳硬膜が開発され, 感染や再手術のリスクを回避するものとして期待されている. しかし合成には触媒として毒性のあるジブチルスズ(DBT)が使用され残存する. そこで人工脳硬膜の安全性評価を確立するための基礎資料を得ることを目的にモデル実験を行った. [方法]:直径約4mmの人工脳硬膜及びDBTを高濃度(100ppm)含んだポリ乳酸ラクチドポリマーの膜をそれぞれ, ラットの頭蓋に直径5mmの穴を開ける手術で埋め込み, 神経系への影響を代表的な行動学試験, オープンフィールド試験及びprepulse inhibition(PPI)テスト, 脳各部位の神経伝達物質及び代謝産物の濃度を指標に検討した. 対照群には手術のみを行った. [結果]:高濃度DBT膜群では, 80dBのprepulseがあった際の反応の抑制率(%PPI at PP80)が, 対照群に比べ有意に低かった. 一方, オープンフィールド試験では, 対照群, 人工脳硬膜群, 高濃度DBT膜群で有意な差がなかった. 神経伝達物質については高濃度DBT膜群の小脳, 人工脳硬膜群の視床下部のドーパミン濃度が対照群に比べて有意に低かった. [結論]:高濃度DBT膜についてはPPIテストにおいて毒性が示唆された. 人工脳硬膜については今回のプロトコールでは, 神経伝達物質への影響は限定的でもあり, 安全であることが示唆された.
ISSN:0385-5449