下顎枝矢状分割法術前後の顎関節円板の位置変化
術前後に両側顎関節MR撮像を行った下顎前突症患者を対象として, 顎関節の臨床症状とMRI所見との比較ならびに術前後の関節円板の位置の変化の調査を行った. 症例は術前後ともにMR撮像が可能であった10症例で男性3例, 女性7例であった. 全ての症例に両側下顎枝矢状分割法単独を行った. 術前の関節円板の位置に関しては20関節中14関節(70%)に円板転位が認められ, その内12関節(85.7%)は復位性の円板前方転位であり, 2関節(14.3%)は非復位性の円板前方転位であった. 臨床症状との比較では復位性の円板転位症例では必ずしも関節雑音を示すとは限らず, 12関節中5関節にはクリッキングの所見...
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Zusammenfassung: | 術前後に両側顎関節MR撮像を行った下顎前突症患者を対象として, 顎関節の臨床症状とMRI所見との比較ならびに術前後の関節円板の位置の変化の調査を行った. 症例は術前後ともにMR撮像が可能であった10症例で男性3例, 女性7例であった. 全ての症例に両側下顎枝矢状分割法単独を行った. 術前の関節円板の位置に関しては20関節中14関節(70%)に円板転位が認められ, その内12関節(85.7%)は復位性の円板前方転位であり, 2関節(14.3%)は非復位性の円板前方転位であった. 臨床症状との比較では復位性の円板転位症例では必ずしも関節雑音を示すとは限らず, 12関節中5関節にはクリッキングの所見がなかった. また非復位性の関節円板転位が片側に認められた1例では上下切歯間で45mmと正常な開口量を示し, 非復位性の円板転位側にはクリッキングを認めた. 術後のMRI所見では, 14関節(70%)では術前と比較して円板の位置の変化はなかったが, 円板位置が正常であった2関節で新たに円板の復位性の転位を生じ, 術前復位性の円板転位のあった3関節は円板の整位が認められ, 非復位性の円板転位1関節では, 復位性の外側転位に変化していた. 8関節では術前後とも復位性の円板転位であったが, このうち4関節で関節雑音の消失が認められた. 質問 日本大, 歯, 口外 堀稔 1. 復位しない前方転位例に対して術前に顎関節腔造影撮影を行っておられますか. 2. 復位しない前方転位例では関節腔内に癒着病変が存在している可能性があり, 術後顎関節症状が悪化することがありますが, いかがでしょうか. 回答 九州大, 歯, 1口外 甲斐裕之 非復位性の円板転位は2例に認められた. 1例は, 円板の形態は, b:concaveであった. 症状としてlate click cbがあり, MRI所見では非復位性の円板転位であったが, 復位性の円板転位の可能性もある. 術後の症状は, 雑音以外ない. もう1例は, 円板の形態は, b:convexでありあきらかに非復位性の円板転位である. 術前術後ともに開口域は50mmを超えている. クレピタスに術後変化したのは, おそらく, 骨変化が生じはじめているのであろう. X線学的には, その変化はあきらかではない. 症状は疼痛など一切認めていない. 質問 北海道大, 歯, 2口外 由良晋也 本術式により術後に円板の整位ないし復位が得られるメカニズムを教えて下さい. 回答 九州大, 歯, 1口外 甲斐裕之 円板整位のメカニズムについては, はっきりとした見解はないが, 外側骨片の角度の変化や, 関節隙の変化に伴っておこっているのではないかと思う. 回答 九州大, 歯, 1口外 白土雄司 内外骨片に分割後, 近位骨片に対してマニュピュレーションにより, 気持的にディスクの整位を計るように一度前下方へ強く引く操作を加えた後で, 近位骨片の位置付けを行っている. この操作が効果的であったかどうかは, 判らない. |
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ISSN: | 0916-7048 |