著しい上下顎偏位症例に上下顎移動術を施行した1症例

著しい上下顎偏位症例では下顎の偏位の修正のみならず, 上顎正中の偏位と傾いた咬合平面の修正が必要であり, 上下顎移動術の適応となる. 本患者は15歳時より下顎の変形に気づき, その後徐々に変形が強くなり, 咀嚼や発音に障害がみられるようになったため18歳時に当科へ紹介来院された. 外傷の既往はない. 初診時, 顔貌の著しい変形を認め, 上顎切歯正中は顔面正中より1mm左へ偏位しており, 咬合平面は前顎断で6度左下がりの傾斜を持ち, 上顎左側臼歯部は右側臼歯部より6mm低位にあった. 下顎骨は左側の過成長が見られ, 下顎切歯正中は上顎切歯正中より右方へ11mm偏位していた. また, 5が左側下顎...

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Hauptverfasser: 藤本佳之, 濱村康司, 浜口裕弘, 安井康順, 平沼勉, 向井紀文, 森厚行, 松矢篤三, 岡本昌彦
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:著しい上下顎偏位症例では下顎の偏位の修正のみならず, 上顎正中の偏位と傾いた咬合平面の修正が必要であり, 上下顎移動術の適応となる. 本患者は15歳時より下顎の変形に気づき, その後徐々に変形が強くなり, 咀嚼や発音に障害がみられるようになったため18歳時に当科へ紹介来院された. 外傷の既往はない. 初診時, 顔貌の著しい変形を認め, 上顎切歯正中は顔面正中より1mm左へ偏位しており, 咬合平面は前顎断で6度左下がりの傾斜を持ち, 上顎左側臼歯部は右側臼歯部より6mm低位にあった. 下顎骨は左側の過成長が見られ, 下顎切歯正中は上顎切歯正中より右方へ11mm偏位していた. また, 5が左側下顎下縁部に水平に埋伏していた. 平成8年11月25日, 全身麻酔下に上下顎移動術ならびに「5埋伏歯抜歯術を施行した. 手術は上顎はLe Fort I型骨切り術を行い, 上顎の位置決めはスプリントを用いて行った. 下顎は両側下顎枝矢状分割法を近位骨片の可及的復位で行った. 上下顎とも骨片の固定にはチタン製ミニプレートを用いた. 術後3週間で顎間固定を解除した段階で下顎の右方への後戻りが強くがみられたため, 顎間ゴム牽引を施行. 術後半年経った現在, 予定した咬合状態に落ちつき, 知覚異常, 顎関節症状ともに無く, 経過は良好である. 質問 福岡歯大, 2口外 本田武司 上, 下顎同時移動術の適応基準をどの様に設定されているのでしょうか. 回答 阪大, 歯, 1口外 藤本佳之 咬合平面の傾斜や上顎の頭蓋に対する位置のずれが明らかであり, 患者がその改善を希望する場合が適用と考えています.
ISSN:0916-7048