下顎骨前方移動術を適用したSkeletal Class II症例の術後安定性について

【目的】下顎後退型のSkeletal Class II症例に対して下顎骨前方移動術を適用した場合では, 舌骨上筋群など下顎骨周囲の軟組織が伸展するため, 下顎骨後方移動術を適用した場合に比べて, より強い後戻り傾向を示すと考えられる. しかし, わが国では下顎骨前方移動術の安定性についての報告は殆どなされていない. 今回, 我々は下顎骨前方移動術を適用した日本人Skeletal Class II症例の術後安定性について検討したので報告する. 【方法】本研究の対象として, 本学附属病院において下顎枝矢状分割術による下顎骨前方移動術(一部オトガイ形成術を併用)を適用し, 術後矯正治療を終了した女子...

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Hauptverfasser: 伊藤純一, 高橋一郎, 菅原準二, 三谷英夫, 長坂浩, 川村仁, 茂木克俊
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】下顎後退型のSkeletal Class II症例に対して下顎骨前方移動術を適用した場合では, 舌骨上筋群など下顎骨周囲の軟組織が伸展するため, 下顎骨後方移動術を適用した場合に比べて, より強い後戻り傾向を示すと考えられる. しかし, わが国では下顎骨前方移動術の安定性についての報告は殆どなされていない. 今回, 我々は下顎骨前方移動術を適用した日本人Skeletal Class II症例の術後安定性について検討したので報告する. 【方法】本研究の対象として, 本学附属病院において下顎枝矢状分割術による下顎骨前方移動術(一部オトガイ形成術を併用)を適用し, 術後矯正治療を終了した女子12症例を選択した. 手術時年齢は平均28歳(範囲;16歳~45歳)であった. 全症例について舌骨上筋群の剥離は行わず, 切離骨片はチタン, ミニプレートによって固定した. 研究資料として, 各症例の手術直前, 手術直後およびブラケット撤去時(手術後平均7ヵ月)の側面頭部X線規格写真の透写図を用いた. 次に, 手術直前の咬合平面およびフランクフルト平面(FH平面)に投影した各時期の下顎歯槽基底最深点(B点)およびオトガイ部最突出点(Pog)の位置変化量を計測し, 下顎骨の術後の安定性について検討した. 【結果】B点およびPogの手術における平均前方移動量は, 咬合平面を基準とした場合, それぞれ5.8mm, 8.3mmであった. また手術直後からブラケット撤去時までの平均術後変位量はB点で1.4mm, Pogで1.6mmであった. 術後平均7ヵ月間での術後変位率はB点で23.2%, Pogで19.0%であった. FH平面を基準とした場合, 平均前方移動量は, B点で4.8mm, Pogで7.8mmであった. 平均術後変位量はB点で0.9mm, Pogで1.2mmであった. 術後平均7ヵ月間での後戻り率はB点で21.9%, Pogで27.6%であった. でも同様の結果が得られた. 【結論】下顎骨後方移動術と比較して後戻り率は高かった. また, 個々の症例の後戻り率には変異が認められたものの, 手術による前方移動量等との関連性は認めなかった. 質問 東医歯大, 歯, 1口外 塩入重彰 Over Correctionについて, 基準があれば教えて下さい. また, Over Correctionの手技についても教えて下さい. 回答 東北大, 歯, 矯正 伊藤純一 症例に合わせて検討しており, とくに基準は設けておりません. 質問 北大, 歯, 矯正 佐藤嘉晃 術後移動が, 前方であった3例に対して何か特徴的な所見がありましたか. 回答 東北大, 歯, 矯正 伊藤純一 術後に前方への変位を示した3例において, 手術による前方移動量, 下顎下縁平面角, 下顎の位置設定について, 特徴的な所見は認められませんでした. しかし, 前方変位の方向は3症例ともに前上方でした. 質問 東歯大, 2口外 鶴木隆 skeletal class IIの術後安定性に関して重要な因子は術中のcondylar seatingである. この点に関してどのような配慮を払っておられるますか. 回答 東北大, 歯, 矯正 伊藤純一 我々は, 関節結節後斜面の最上方位に下顎頭が位置するように下顎頭位を設定しています. 質問 岩手医大, 歯, 1口外 大屋高徳 class IIで前上方への移動術での術後変化量はいかがでしたでしょうか. muscleの処理や骨片固定法に何か工夫をされておりますか. 回答 東北大, 歯, 矯正 伊藤純一 今回研究対象とした症例は, 下顎骨の前方移動のみを行ったものなので, 手術によって下顎骨が前上方に変位した症例はありません. 骨切りの際, 咬筋, 内側翼突筋の付着部位はできるだけ剥離しないようにしています. 舌骨上筋群の剥離は行っておりません. また, 骨片はT型チタン, ミニプレートで接合を行っております.
ISSN:0916-7048