当科で行っている下顎枝矢状分割法および舌短縮術の術式について

当科では1977年より下顎枝矢状分割術を導入し, 1993年までの約16年間の間に233例の下顎前突症患者に適応してきた. その間に, 術式に種々の改良を加え, 手術時間の短縮を含め, 治療成績の向上を計ってきた. 今回その改良点のいくつかを中心に, われわれが行っている術式を紹介した. その主なものは下顎枝前縁の粘膜切開に際し, メスによる切開後に鈍的剥離を行うことなく, われわれの考案した剪刀を用い, 切開線前方部よりトンネル状の骨膜剥離を行い, 骨膜を含んで一気に切開し, 広範囲に骨面の露出を行っている. この切開は簡便な方法であるばかりでなく, 手術時間の短縮や閉創にも有利である. ま...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1994, Vol.4 (2), p.215-215
Hauptverfasser: 朝波惣一郎, 柴秀行, 岡田豊, 矢郷香, 本間宏昌, 岡田明子, 木津英樹, 笠崎安則
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:当科では1977年より下顎枝矢状分割術を導入し, 1993年までの約16年間の間に233例の下顎前突症患者に適応してきた. その間に, 術式に種々の改良を加え, 手術時間の短縮を含め, 治療成績の向上を計ってきた. 今回その改良点のいくつかを中心に, われわれが行っている術式を紹介した. その主なものは下顎枝前縁の粘膜切開に際し, メスによる切開後に鈍的剥離を行うことなく, われわれの考案した剪刀を用い, 切開線前方部よりトンネル状の骨膜剥離を行い, 骨膜を含んで一気に切開し, 広範囲に骨面の露出を行っている. この切開は簡便な方法であるばかりでなく, 手術時間の短縮や閉創にも有利である. また外側骨片の固定は従来よりObwegeser原法に従った囲繞結紮を行っていたが, 近年は, ミニプレートを用い比較的強固な固定を行っている. また233例の矢状分割施行症例のうち舌短縮術を併用した症例は22症例(9.4%)であり, 併せて術式を供覧した. 当科では術後の良好な舌形態と機能を得るために, Beckerの切開線に従っている. 切開線の設定に際し, 巨舌の程度および下顎後退距離, 舌習癖等を考慮し切除量を決定し, 舌小帯の保存の為に, 舌小帯基部から舌背部切開頂部に注射針を刺入し切除時のガイドとしている. 切開はレーザーメスを用いることで, 出血量を減少し, また筋組織の攣縮を防ぐ事で切開予定線に沿った切開を可能としている. 質問 多治見市民病院口腔外科 稲本浩 舌縮小術に対する設計にあたって, 舌切除量の基準があれば教えていただきたい. また舌尖部の切除幅は何mmまで切除可能でしょうか. 回答 慶応大, 医, 口外 朝波惣一郎 舌の大きさを客観的に評価するのは難かしく, いろいろ簡便な方法はありますが, われわれは後方への移動量が大きな場合かopen biteの著しい場合には特にこの術式を使用するように考えております. Becker法の舌尖部の幅に関しましては2cm以上でも大丈夫で, むしろ舌小帯部の切り過ぎで強直をおこし易いことを配慮しております. 質問 九大, 歯, 1口外 白土雄司 舌切除術に関しては, 術後の後戻り防止策として, 症例によっては考慮すべきと思いますが, Becker法ですと, 舌尖部を広く切除し過ぎになりませんか?われわれは舌尖部の切除量を少な目にして, 上顎の口腔前庭に残る食渣を術後舌尖部で清掃できる能力を保存するように努めています. この点, この術式は如何ですか? 回答 慶応大, 医, 口外 朝波惣一郎 術後の舌の機能に関しましては6か月以上の経過により, 術前の正常状態に回復しております.
ISSN:0916-7048