B-10.われわれの行っている下顎枝外側骨片復位及びチタンネジ止め固定法について第7報-補綴および外科的処置例

われわれは, 顎変形症患者に対して外側骨片復位, 固定システムを用い口腔外科, 矯正科, 補綴科の3科によるチームアプローチを行ってきた. しかし, それらの症例の中には前歯の審美性, 歯軸, 上下歯列弓の幅径はそれぞれ単独では問題がなく, また欠損歯や補綴歯が多く大幅な咬合高径の改善や全顎にわたる術後補綴処置が必要な症例もあり, このような場合では矯正治療の適応外であり, 補綴治療の適応である. 今回は補綴と外科処置で咬合を改善した骨格性下顎前突症例を経験したので報告した. 症例は初診時30才の男性で, 顎関節症状と著しいover closureを伴う骨格性下顎前突症による不正咬合を主訴とし...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1992, Vol.2 (2), p.202-203
Hauptverfasser: 金修澤, 秦博文, 藤田春雄, 澤田久, 山縣健佑, 大野康亮, 中村篤, 工藤昌人, 斎藤健一, 道健一, 篠原親, 後藤昌弘, 柴崎好伸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれは, 顎変形症患者に対して外側骨片復位, 固定システムを用い口腔外科, 矯正科, 補綴科の3科によるチームアプローチを行ってきた. しかし, それらの症例の中には前歯の審美性, 歯軸, 上下歯列弓の幅径はそれぞれ単独では問題がなく, また欠損歯や補綴歯が多く大幅な咬合高径の改善や全顎にわたる術後補綴処置が必要な症例もあり, このような場合では矯正治療の適応外であり, 補綴治療の適応である. 今回は補綴と外科処置で咬合を改善した骨格性下顎前突症例を経験したので報告した. 症例は初診時30才の男性で, 顎関節症状と著しいover closureを伴う骨格性下顎前突症による不正咬合を主訴として来院した. 治療経過は段階的に咬合挙上し, 症状が消失した咬合位で経過観察した後, 下顎の予想後退位置にて咬頭嵌合する顎間固定用の上下臼歯部Metal CrownおよびBridgeを作製した. このBridgeの上顎大臼歯部ダミーの頬側には復位位置決めのためのチューブを鑞着した. また, 下顎を新たな中心咬合位に誘導して顎間固定するために頬側面にフックおよび咬合面に誘導孔とピンを付与した. そして術前に咬合挙上した下顎頭位を保持するように復位ネジ止めをし, 下顎枝矢状分割法による下顎後退を行った. 以上の方法により顎間固定除去直後から良好な臼歯部咬合関係が得られ早期の機能回復がなされた. 術後約1年の顎関節の機能および咬合関係も良好である. 質問 北大, 歯, 2補綴 大畑昇 御報告の症例は, 下顎のスピーの湾曲が強く, 下顎前歯の舌側傾斜が強いので, やはり術前矯正治療の適応と思われます. 術前矯正を行わなかつた理由を教えて下さい. 回答 昭大, 歯, 2補綴 金修澤 患者の希望及び治療期間を考慮し矯正治療は行わなかった. 尚, このような症例の場合咬合修復の下顎前歯の舌側傾斜は1SD以内であることも条件になると思われます. 質問 香川県立中央病院, 口外 三沢正春 関節円板前方軸位(復位のある)を合併した顎変形症の治療において, 下顎頭の位置決定には, 前下方へ設定する方法も考えられるが, 今回の症例にっいて, 咬合高径を上げることで対処しているが, この決定はどのような理由から, 行ったものか. 追加後方骨片の復位固定法の信頼性を考えると今回の症例のような微細な下顎頭位の移動目的では, 下顎枝垂直骨切りの方が生理的な位置に納まり安全であるようです. 回答 昭大, 歯, 2補綴 金修澤 通常ではおっしゃる通りですが, ネジ止め固定法においても術前補綴において顎関節症状が消失したことを確認し厳密に位置決めをすれば良好な結果の得られることを示しました.
ISSN:0916-7048