血友病例における脳静脈性血管奇形に伴う若年性小脳出血の1 例

症例は31 歳男性.既往歴は血友病A,human immunodeficiency virus(HIV) ウイルスキャリア.20XX 年某日朝8 時から左右に揺れるような症状を自覚し,嘔吐があったため当科を受診した.神経所見では左への水平性眼振を認めた.血液検査では activated partial thromboplastin time(APTT) 39.4 秒と延長し,第VIII 因子活性は30%(基準値50~200%)と低下していた.頭部CT,MRI で左小脳核部から第4 脳室に穿破した出血を示す所見があり,小脳出血と診断した.MRA 所見から左小脳に異常血管を疑い,脳血管造影検査を施...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2018, Vol.40(1), pp.35-38
Hauptverfasser: 植村, 順一, 松原, 俊二, 宇野, 昌明, 八木田, 佳樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:症例は31 歳男性.既往歴は血友病A,human immunodeficiency virus(HIV) ウイルスキャリア.20XX 年某日朝8 時から左右に揺れるような症状を自覚し,嘔吐があったため当科を受診した.神経所見では左への水平性眼振を認めた.血液検査では activated partial thromboplastin time(APTT) 39.4 秒と延長し,第VIII 因子活性は30%(基準値50~200%)と低下していた.頭部CT,MRI で左小脳核部から第4 脳室に穿破した出血を示す所見があり,小脳出血と診断した.MRA 所見から左小脳に異常血管を疑い,脳血管造影検査を施行したところ,左小脳に脳静脈性血管奇形を認めた.以上より血友病A の関与した脳静脈性血管奇形に伴う脳出血と診断した.第VIII 因子製剤と高張グリセロール静脈投与による保存的加療を行い,第2 病日に症状は消失した.脳静脈性血管奇形に伴う脳出血の頻度は高くない.しかし血友病などの出血素因を合併している症例では,本例のように若年でも脳出血を発症しうると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10509