精密持続点滴中のタクロリムス注射液の含量低下とフタル酸ジ-2-エチルヘキシルの溶出

「緒言」タクロリムス注射液はマクロライド系の免疫抑制剤であり, 生体肝移植, 腎移植における拒絶反応の抑制, および骨髄移植における移植片対宿主病の治療に対し, 生理食塩液あるいは5%ブドウ糖注射液で希釈し4-24時間かけて点滴静注されている1). タクロリムスは強力な免疫抑制活性を有するものの, 有効血中濃度域が狭く, さらに体内動態に大きな個体差が認められるため, 使用の際は血中濃度モニタリングが必須とされている2). 1. Firdaousらは3), 血中濃度測定操作中に使用容器へのタクロリムスの吸着(20%程度)が認められることを報告したが, 投与中の輸液チューブヘの吸着による含量低下...

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Veröffentlicht in:病院薬学 2000, Vol.26(1), pp.7-12
Hauptverfasser: 鈴木, 正彦, 高松, 昭司, 村松, 恵美, 中島, 新一郎, 田中, 睦子, 河野, 健治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」タクロリムス注射液はマクロライド系の免疫抑制剤であり, 生体肝移植, 腎移植における拒絶反応の抑制, および骨髄移植における移植片対宿主病の治療に対し, 生理食塩液あるいは5%ブドウ糖注射液で希釈し4-24時間かけて点滴静注されている1). タクロリムスは強力な免疫抑制活性を有するものの, 有効血中濃度域が狭く, さらに体内動態に大きな個体差が認められるため, 使用の際は血中濃度モニタリングが必須とされている2). 1. Firdaousらは3), 血中濃度測定操作中に使用容器へのタクロリムスの吸着(20%程度)が認められることを報告したが, 投与中の輸液チューブヘの吸着による含量低下の詳細および投与時の注意点については報告されていない. 本報告では, 含量低下の機構および実際に投与するときの問題点を明らかにする目的で, 滴下条件と含量低下率, および輸液セットからの可塑剤であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の溶出について検討したので報告する. 実験 1. 試料 タクロリムス注射液はプログラフ(R)(タクロリムス5mg/1mLA, 藤沢薬品工業(株))を, 生理食塩液は局方品(日局13)を使用した. 輸液チューブはポリ塩化ビニル(PVC)製(TS-A256PK027テルモ社), ポリエチレン(PE)製(TS-PA304Lテルモ社), ポリオレフィン(PO)製(TNG-ET-100ニブロ社)を用いた. ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60)(クレモフォールEL, ナカライテスク(株))は, 市販品を使用した. また, タクロリムス原末は藤沢薬品工業(株)から提供を受けた. その他の試薬類は市販の特級品を用いた.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.26.7