3 頭蓋外骨転移をきたした右頭頂葉神経膠芽腫の1例 A case of right parietal glioblastoma with extracranial metastases

【症例報告】80歳女性. 2006/3右頭頂葉皮質下出血発症. その後, 同部にcystic tumorが形成されたため, 同年7月部分摘出された. 病理はastrocytoma grade2であった. 経過観察されていたが, 2007/2左麻痺が進行したため, 故郷の松本に弟を頼って帰り, 当院を受診した. 神経所見は, 無欲状, 1/5レベルの左片麻痺で歩行不可, 左同名半盲. Xp上L1圧迫骨折MRIで造影され周囲に浮腫を伴うcystic tumorを右頭頂部に認めた. PET-CTでは同部にのみ集積を認めた. 2007/3腫瘍亜全摘手術. Cyst内容は血性混濁液で病理結果は多形性膠芽...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2009, Vol.57 (3), p.111-112
Hauptverfasser: 青木俊樹, 関口泰之, 原田孝信, 一之瀬良樹, 今井豊, 高山文吉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【症例報告】80歳女性. 2006/3右頭頂葉皮質下出血発症. その後, 同部にcystic tumorが形成されたため, 同年7月部分摘出された. 病理はastrocytoma grade2であった. 経過観察されていたが, 2007/2左麻痺が進行したため, 故郷の松本に弟を頼って帰り, 当院を受診した. 神経所見は, 無欲状, 1/5レベルの左片麻痺で歩行不可, 左同名半盲. Xp上L1圧迫骨折MRIで造影され周囲に浮腫を伴うcystic tumorを右頭頂部に認めた. PET-CTでは同部にのみ集積を認めた. 2007/3腫瘍亜全摘手術. Cyst内容は血性混濁液で病理結果は多形性膠芽腫であった. インターフェロンMCNU50mg. 全脳照射60G+局所定位照射(SRS)10Gが行われ, 左麻痺は改善し独歩退院した. その後は定期的に2カ月に1度MCNU50mgしていた. 1年間は特に変化なく経過したが2008/4/22急速に四肢麻痺と全身痛出現. Xp上右鎖骨骨折あり. 病的骨折のため生検したところ, 脳腫瘍と同じ多形性膠芽腫が認められ転移と診断された. PET-CTで同部と頸部に集積あり. 頸椎C6椎体にMRI上転移が確認された. 【考察】2008年Piccirilliらは128例の中枢神経系腫瘍の頭蓋外転移を報告している. (1)所属のリンパ節転移(51%) (2)肺胸膜(60%) (3)椎体を中心とする骨(31%) (4)肝臓(22%) (5)術野の頭皮などである. 頭蓋骨や頭蓋外軟部組織に浸潤してから血行性およびリンパ行性転移, 腫瘍周囲の血管からの直接血行転移, 腫瘍が硬膜に浸潤してからの血行転移, 髄液播種, 脳室や脳室―軟膜シャントを介する転移などが知られている. 2%の頭蓋外転移の頻度が報告され, 1969年のSmithらの0.44%から増加したのはGliomaの多面的治療が生存期間を延ばしているためという. 本症例は1年の間にgrade2からgrade4に悪性転化し, 1年の照射と化学治療の後, 頭蓋外転移を生じた稀な例であり, PET-CTで確認された初の症例として貴重である. PET-CTは正確な頭蓋外転移の把握に有用であった.
ISSN:0037-3826