1. 縦隔膿瘍を伴った食道粘膜剥離症の1例
「はじめに」食道粘膜剥離症とは, 何らかの機序で食道の粘膜層が筋層から剥離された比較的稀な病態である. その原因としては, 飲食物, 嘔吐, 薬剤性, 内視鏡検査などが挙げられる. 「症例」患者:60歳の男性. 既往歴:糖尿病, アルコール性肝炎. 現病歴:2006年2月, 魚骨を誤嚥し, その翌日から咽頭痛・胸部痛が出現したため近医に入院した. 深頸部膿瘍の診断で緊急に切開排膿術を施行され当院に転院した. 諸検査の結果, 敗血症および縦隔膿瘍を伴った食道粘膜剥離症と診断し, 抗菌薬の投与とTPNと経鼻的胃管からの経腸栄養による栄養管理で保存的治療を行なった. 敗血症と縦隔膿瘍は徐々に軽快した...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2007, Vol.57 (2), p.207-207 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」食道粘膜剥離症とは, 何らかの機序で食道の粘膜層が筋層から剥離された比較的稀な病態である. その原因としては, 飲食物, 嘔吐, 薬剤性, 内視鏡検査などが挙げられる. 「症例」患者:60歳の男性. 既往歴:糖尿病, アルコール性肝炎. 現病歴:2006年2月, 魚骨を誤嚥し, その翌日から咽頭痛・胸部痛が出現したため近医に入院した. 深頸部膿瘍の診断で緊急に切開排膿術を施行され当院に転院した. 諸検査の結果, 敗血症および縦隔膿瘍を伴った食道粘膜剥離症と診断し, 抗菌薬の投与とTPNと経鼻的胃管からの経腸栄養による栄養管理で保存的治療を行なった. 敗血症と縦隔膿瘍は徐々に軽快したが, 食道粘膜剥離症の治癒には長期間を要すと判断し3月に開腹による胃痩を造設した. その後も食道粘膜剥離症は残存し, また同部に全周性狭窄が出現した. さらに長期間の胃瘻からの栄養療法の継続が必要と判断し, 4月に本人と家人に管理法をNSTが指導し, 在宅経腸栄養法(間欠的ペースト食投与)へ移行した. 在宅経腸栄養施行後, 食道粘膜剥離症と狭窄は徐々に軽快し12月には経口摂取可能となった. 経過中, 栄養状態は良好で, 経腸栄養による合併症はなく糖尿病のコントロールも良好であった. 「まとめ」食道粘膜剥離症の治療は保存的治療が原則である. 長期間にわたる絶食が必要な症例もあり栄養管理が重要である. 今回, NSTが早期から関わり, 開腹胃痩造設や在宅経腸療法など行い, QOLを保ちながら保存的に治癒した症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1343-2826 |