9. 畜舎内温度看視システムを用いた肉豚事故低減の取り組み (第一報)
はじめに 肉豚の死亡事故の主な原因は, 肺炎や下痢症であり, これらの疾病発生には豚舎内温度が密接に関与しているといわれている. しかしながらウィンドレス豚舎など, 一部の高気密, 高断熱の農場を除けば, 豚舎内温度が外気温の変化に伴って変動し, また, 同じ豚舎内でも隙間風などの影響が豚房によって異なるため, それぞれの温度変化を的確に看視し, 適温に調節することは非常に困難である. そこで, 今回, 複数ポイントの温度を自動測定できる[畜舎内温度看視システム」を導入し, 養豚農家への応用の可能性について検討した. 材料と方法 1)温度看視システムの概要 今回のシステム, 無線温度ロガー(株...
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Veröffentlicht in: | 日本家畜臨床学会誌 2005, Vol.28 (2), p.70-70 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに 肉豚の死亡事故の主な原因は, 肺炎や下痢症であり, これらの疾病発生には豚舎内温度が密接に関与しているといわれている. しかしながらウィンドレス豚舎など, 一部の高気密, 高断熱の農場を除けば, 豚舎内温度が外気温の変化に伴って変動し, また, 同じ豚舎内でも隙間風などの影響が豚房によって異なるため, それぞれの温度変化を的確に看視し, 適温に調節することは非常に困難である. そこで, 今回, 複数ポイントの温度を自動測定できる[畜舎内温度看視システム」を導入し, 養豚農家への応用の可能性について検討した. 材料と方法 1)温度看視システムの概要 今回のシステム, 無線温度ロガー(株式会社チノー製)は, 室温をセンサー部で測定し, そのデータを無線で伝送する数個の送信器と, データを受信し, 記録, 集積しておく本体で構成されている. 本体に集積されたデータは, 随時パソコンに取り込み加工することができる. 2)設置農家および調査項目 飼養規模(肉豚引受1300頭~3400頭/年)の養豚農家6戸を対象とした. 室温看視システムの設置場所は, 分娩舎2ヵ所, 育成豚舎2~3ヵ所の計4~5ヶ所とし, センサー部の取り付けは, ほぼ子豚の頭の高さ(床面から約50cm)とした. さらに3戸については, 5月より屋外1ヵ所にも設置し, 外気温を測定した. 調査期間は平成17年4月から平成17年8月までの約5ヶ月間で, 調査項目は, 1時間間隔の室温と外気温をもとに, 1日の平均温度, 最高温度, 最低温度および日較差とした. 成績 ウィンドレス豚舎であるF農家を除く5戸の育成豚舎の月毎平均室温は, 4月:17.5±4.9℃ 5月:21.3±2.4℃ 6月:24.9±1.3℃ 7月:25.9±1.6℃ 8月:28.2±1.4℃であった. また, 日較差は, 4月:6.7±0.6℃ 5月:6.6±0.5℃ 6月:5.8±0.5℃ 7月:4.5±0.3℃ 8月:6.1±0.7℃であった. さらに, 同一育成舎の2地点間室温差では, A農家の4月平均データで2.3℃の差があり最大で, その他の農場では2地点間の差は小さかったものの, 0.1℃から1.3℃の差として的確に捉えていた. F農家では, 育成舎の平均室温が5ヶ月間を通して26℃から30℃の範囲で推移しており(28.7±1.3℃), 日較差も3.5±1.3℃と極めて狭い範囲で推移していた. 外気温の日較差が5月:12.1±1.1℃ 6月:10.3±1.0℃ 7月:8.7±0.8℃ 8月:9.7±1.5℃であったことと比べると, 6農家の温度管理が良好であったことがうかがえる. 考察 本システムの活用により豚舎内温度がリアルタイムで知ることができ, 平均温度, 最高, 最低温度, 日較差についても把握可能であった. 今回の調査期間は, 比較的気候の温暖な時期であったため, 農家間の室温に大きな違いはなかったが, さらに年間を通してのデータを集積することにより, 的確な温度管理に役立つものと考える. |
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ISSN: | 1346-8464 |