経腸経管栄養療法時におけるポリ塩化ビニル製チューブからのフタル酸ジ-2-エチルヘキシルの溶出
「緒言」可溶化剤を含む注射薬や, 油脂や分散剤を含む脂肪乳剤を点滴投与する際に, ポリ塩化ビニル(PVC)製の輸液チューブを用いた場合にはチューブからフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)が溶出することが報告1-4)されている. DEHPはPVC製品を柔らかく屈曲製のある性質にするために可塑剤として加えられている物質であるが, 内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質に指定5)されている. DEHPは現時点では人体への影響が明らかにされていないが, 動物での混餌実験により精巣および生殖への影響が認められている6, 7)ことから, 旧厚生省から当面の耐用一日摂取量を40-140μg/kg/d...
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Veröffentlicht in: | 医療薬学 2002/04/10, Vol.28(2), pp.152-156 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」可溶化剤を含む注射薬や, 油脂や分散剤を含む脂肪乳剤を点滴投与する際に, ポリ塩化ビニル(PVC)製の輸液チューブを用いた場合にはチューブからフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)が溶出することが報告1-4)されている. DEHPはPVC製品を柔らかく屈曲製のある性質にするために可塑剤として加えられている物質であるが, 内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質に指定5)されている. DEHPは現時点では人体への影響が明らかにされていないが, 動物での混餌実験により精巣および生殖への影響が認められている6, 7)ことから, 旧厚生省から当面の耐用一日摂取量を40-140μg/kg/dayとする通知8)が出されている. 経管経腸栄養療法(経管栄養法)を行う際にも, PVC製の投与セットや, 経鼻チューブが用いられている. 経腸栄養製剤中にはダイズ油, ポリソルベート80などの油脂や可溶化剤が含まれていることから, 経管栄養法を行う際にもDEHPは溶出しているのではないかと予想されるが, 実際の投与条件でどのくらいのDEHPが溶出しているのかに関してのデータはない. そこで今回, 経管栄養法時におけるPVCチューブからのDEHPの溶出に関して, 通常の投与条件においてどのくらいのDEHPが溶出しているのかモデル薬品としてエンシュアリキッド(R)バニラ(EL)を用いて実験を行うとともに, 溶出に与える温度, PVCチューブの種類および市販の経腸栄養製剤の種類の影響について調べたので報告する. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.28.152 |