医療的ケア児に対する保健師活動-個別事例への保健所保健師の支援に焦点をあてて

19歳以下の医療的ケア児はこの10年間で約2倍に増えており,児の健康管理の難しさからくる保護者の養育負担とそれらに対する体制整備が喫緊の課題といえる.保健所保健師は,それらを担う立場にある.本研究の目的は,保健所保健師が実践した医療的ケア児とその家族への個別事例の支援内容から,保健所保健師による医療的ケア児を対象とした活動内容を明らかにすることである. 保健所保健師が支援した4事例について,事例ごとに,その事例にかかわった複数の保健師へのグループインタビュー調査を行った.インタビューでは,医療的ケア児とその家族への支援の概要,活用可能な地域の資源,児と家族が地域で生活し続けるために行った活動内...

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Veröffentlicht in:山口医学 2022/08/31, Vol.71(2+3), pp.65-74
Hauptverfasser: 後藤, 奈穂, 牛尾, 裕子, 守田, 孝恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:19歳以下の医療的ケア児はこの10年間で約2倍に増えており,児の健康管理の難しさからくる保護者の養育負担とそれらに対する体制整備が喫緊の課題といえる.保健所保健師は,それらを担う立場にある.本研究の目的は,保健所保健師が実践した医療的ケア児とその家族への個別事例の支援内容から,保健所保健師による医療的ケア児を対象とした活動内容を明らかにすることである. 保健所保健師が支援した4事例について,事例ごとに,その事例にかかわった複数の保健師へのグループインタビュー調査を行った.インタビューでは,医療的ケア児とその家族への支援の概要,活用可能な地域の資源,児と家族が地域で生活し続けるために行った活動内容などを自由に語ってもらった.その内容を,類似性でカテゴリー化して,平野の研究で使われた実践能力の枠組みを基準に分類整理し,枠組みごとに医療的ケア児と家族への保健師活動の特徴を検討した. その結果,保健師の語りから,260の保健師活動が抽出され,79のコードと39のカテゴリーに整理された.そしてそれらは,保健所保健師に求められる実践能力の枠組みによって,「対人支援能力」「地域支援能力」「施策能力」「管理能力」のいずれかに分類された. 保健所保健師は,「対人支援能力」に分類される直接支援においては,常時医療を必要とする状態であることを前提にしながら,児の全体像を捉え医療と福祉をつなぎつつ家族単位のマネジメントを行っているという特徴が捉えられた.そして,「地域支援能力」「施策能力」「管理能力」に分類される間接支援においては,個別支援を通してケアシステム構築へつなげようとしていることが考えられた.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.71.65