集中豪雨による水害対策で救命救急センター垂直避難を経験して

集中豪雨や台風による水害は年々増加しており,気候変動の影響により今後もさらなる頻発・激甚化が懸念されている。当院は九州地方最大の河川である筑後川の畔にあり,氾濫すると1階に位置する救命救急センターは最初に被害を受ける。2020年,2021年と集中豪雨による河川氾濫の危機に直面し垂直避難を経験したため報告する。垂直避難をする際の課題点は,①タイミング,②マンパワーの確保,③避難先の病床確保,④医療機器などの避難があげられる。対応策として,①河川の水位とその後の降水状況,マンパワーを加味し判断する,②病院全体での協力体制を構築し,避難する時間帯を考慮する,③入院病床を有す救命救急センターには重症患...

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Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2023/12/28, Vol.26(6), pp.703-710
Hauptverfasser: 平湯, 恒久, 鍋田, 雅和, 宇津, 秀晃, 山下, 典雄, 高須, 修
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:集中豪雨や台風による水害は年々増加しており,気候変動の影響により今後もさらなる頻発・激甚化が懸念されている。当院は九州地方最大の河川である筑後川の畔にあり,氾濫すると1階に位置する救命救急センターは最初に被害を受ける。2020年,2021年と集中豪雨による河川氾濫の危機に直面し垂直避難を経験したため報告する。垂直避難をする際の課題点は,①タイミング,②マンパワーの確保,③避難先の病床確保,④医療機器などの避難があげられる。対応策として,①河川の水位とその後の降水状況,マンパワーを加味し判断する,②病院全体での協力体制を構築し,避難する時間帯を考慮する,③入院病床を有す救命救急センターには重症患者が多く,病院全体で事前のベッドコントロールが必要である,④事前に高額医療機器の避難場所の確保をしておく。水害は毎年のように各地で多発している。実害を被るまで時間的猶予のある災害であるが,垂直避難も考慮した危機管理体制が必要である。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.26.703