22. 尿蛋白陰性尿に出現した硝子円柱について

「はじめに」尿沈渣中に見られる円柱はTamm-Horsfall(T-H)ムコ蛋白とアルブミンがおもに凝固した成分で, 腎機能障害により尿蛋白陽性とともに出現する. しかし, 日常検査においては尿蛋白陰性で, 円柱が出現する検体をしばしば認める. 今回, 尿蛋白陰性尿で出現する円柱について検討を行ったので報告する. 結果:1. 円柱出現率:尿蛋白陰性群14.7%, 蛋白陽性群65.6%であった. また, 蛋白量の増加に伴い円柱出現率が増加した. 2. 尿蛋白陰性群の円柱:硝子円柱のみ74.5%, 成分円柱20.0%, 顆粒円柱5.3%であった. ロウ様, 脂肪, 空胞円柱は認められなかった. 3...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2008, Vol.123 (2), p.130-130
Hauptverfasser: 丹羽厚子, 吉田栄, 井出尚一, 渡辺孝子, 平井徳幸, 大西明弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」尿沈渣中に見られる円柱はTamm-Horsfall(T-H)ムコ蛋白とアルブミンがおもに凝固した成分で, 腎機能障害により尿蛋白陽性とともに出現する. しかし, 日常検査においては尿蛋白陰性で, 円柱が出現する検体をしばしば認める. 今回, 尿蛋白陰性尿で出現する円柱について検討を行ったので報告する. 結果:1. 円柱出現率:尿蛋白陰性群14.7%, 蛋白陽性群65.6%であった. また, 蛋白量の増加に伴い円柱出現率が増加した. 2. 尿蛋白陰性群の円柱:硝子円柱のみ74.5%, 成分円柱20.0%, 顆粒円柱5.3%であった. ロウ様, 脂肪, 空胞円柱は認められなかった. 3. 尿蛋白陽性群の円柱:尿蛋白量の増加に伴い顆粒・脂肪・空胞円柱の顆粒系円柱が増加した. 4. 尿蛋白陰性・円柱(-)群:血清BUN, CREの平均は検討した結果, 年齢による増加は少なかった. 5. 尿蛋白陰性・円柱(+)群:血清BUN, CRE平均はBUN 20.3mg/dl, CRE 1.01mg/dlであり, 円柱(-)群(BUN 15.6mg/dl, CRE 0.78mg/dl)に比較し増加していた. 6. 硝子円柱の出現検体と血清BUN, CRE値:円柱+1はBUN 20.4mg/dl, CRE 1.02mg/dlであり, 円柱+2はBUN 26.0mg/dl, CRE 1.38mg/dl, 円柱+3~+4はBUN 30.0mg/dl, CRF 1.36mg/dlであり円柱出現量により増加した. 考察:硝子円柱は健常人でも出現するが, 硝子円柱陽性検体では, 血清BUN, CREが増加し+2以上では血清BUN, CREが基準値を超え腎機能低下が示唆された.
ISSN:0375-9172