前立腺癌に対する恥骨後式前立腺全摘術100例の臨床的検討

I. 緒言 前立腺癌は米国において1995年で1年間の新患数が約24万人にのぼり, 男性癌罹病率第1位であり, その死亡数も約4万人に上っているが, 本邦では従来その頻度は低いものと考えられてきた. しかし本癌は本邦でも確実に増加しており, 2015年の前立腺癌による本邦死亡者は年間13,500人にのぼると推定されている1). 東京慈恵会医科大学附属病院本院泌尿器科においても前立腺癌新患数は1980年代は年間平均20-30例であったが, 1993年40例, 1995年72例, 1997年85例と着実に増加している2). とくにその増加は前立腺癌の腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(prostat...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2001-05, Vol.116 (3), p.189-195
Hauptverfasser: 池本庸, 大石幸彦, 小野寺昭一, 岸本幸一, 清田浩, 和田鉄郎, 古田希, 浅野晃司, 長谷川倫男, 南孝明, 川口安夫, 町田豊平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I. 緒言 前立腺癌は米国において1995年で1年間の新患数が約24万人にのぼり, 男性癌罹病率第1位であり, その死亡数も約4万人に上っているが, 本邦では従来その頻度は低いものと考えられてきた. しかし本癌は本邦でも確実に増加しており, 2015年の前立腺癌による本邦死亡者は年間13,500人にのぼると推定されている1). 東京慈恵会医科大学附属病院本院泌尿器科においても前立腺癌新患数は1980年代は年間平均20-30例であったが, 1993年40例, 1995年72例, 1997年85例と着実に増加している2). とくにその増加は前立腺癌の腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(prostate-specific antigen:PSA)が臨床に導入されてから, 進行性の前立腺癌ばかりでなく, 臓器限局性の前立腺癌が増加している点で特徴的といえる3). したがって従来内分泌療法一辺倒であった前立腺癌の治療も, その癌が臓器限局性と予想される時は積極的に外科的前立腺摘出術も考慮されるようになってきた. 本院泌尿器科では1993年からWalshらの提唱するanatomical radical prostatectomy4)に準じて, 恥骨後式の逆行性前立腺全摘術を開始し, 2000年5月時点で100例を数えた.
ISSN:0375-9172