6-1. 集団肺検診における肺癌例の状況(平成2年~6年)

はじめに:昭和57年に柏市医療センターが開設して以来, 当地区医師会肺検診判読委員会はX線読影を行ってきた. 今回, 平成2年~6年の5年間における肺癌症例についての状況を報告する. 対象:人口約32万人の柏市と隣接の人口4.4万人の沼南町の16歳以上の住民の肺結核・肺癌検診である. 検診方法:1. X線写真:X線車によって市内各地区を巡回して, 間接胸部X線平面1枚を撮影した. 読影方式は「間接写真スィルム2重読影実施要項」による(1)結核性病変, (2)非結核病変, (3)心・血管病変, (4)骨・横隔膜・異物など, (5)腫瘍性病変の分類に従った. 2. 喀啖検査:細胞診検査は老健法と市...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (6), p.964-965
Hauptverfasser: 宮地直丸, 木暮達, 井上敬一, 遠藤久一, 勝目宏, 呉飛雄, 濱田宏志, 吉田常男, 劉弘文, 須田富士雄, 酒井成司, 亘理俊一, 西脇裕, 柿沼龍太郎, 北条史彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:はじめに:昭和57年に柏市医療センターが開設して以来, 当地区医師会肺検診判読委員会はX線読影を行ってきた. 今回, 平成2年~6年の5年間における肺癌症例についての状況を報告する. 対象:人口約32万人の柏市と隣接の人口4.4万人の沼南町の16歳以上の住民の肺結核・肺癌検診である. 検診方法:1. X線写真:X線車によって市内各地区を巡回して, 間接胸部X線平面1枚を撮影した. 読影方式は「間接写真スィルム2重読影実施要項」による(1)結核性病変, (2)非結核病変, (3)心・血管病変, (4)骨・横隔膜・異物など, (5)腫瘍性病変の分類に従った. 2. 喀啖検査:細胞診検査は老健法と市の規定による希望者に行い, 検体は千葉県対がん協会に依頼した. 成績:5年間の総検診数は55,915例である. 精検率は2.9%で腫瘍例は37例認められた. そのうち肺癌は32例を示した. 組織型は腺癌は23例(71.8%), 扁平上皮癌4例(12.5%), 大細胞癌2例(6.2%), 小細胞癌2例(6.2%), カルチノイド1例(3.1%)を示した. これらのTNM分類ではT1N0M0 18例(56.2%), T2N0M0 7例(21.8%), T1N1M0~T4N0M1 7例(21.8%)を占めた. 受診回数では初回発見16例, 2回以降16例と同数を示した. なお前回のX線像では肺癌をうかがわせる所見はなかった. 症状は検診1ヵ月以内で軽度, せき, たんの有症状者は75%, 無症状者25%であった. 喫煙者は78.1%, 非喫煙者21.8%, 喫煙指数は平均860を示した. 喀啖検査では肺癌の確診は年間1~5例認められている. 考察:無症状の早期肺癌を確診することは肺癌の生存率を高めることである. とくに集団肺検診においては精検率, 感度, 特異度, 標準肺癌発見率, 早期肺癌率などの精度管理の指数が重要である. これらについて各々2.9%, 80.5%, 97.4%, 187%, 55%と良好な値を示した. まとめ:1. 精検率は2.9%を示した. 2.5年間で32例の肺癌を確診した. 3. 標準肺癌発見率は187%を示した. 4. 早期肺癌率は55%を示した. 5. 各種精度管理の指数は良好な値を示した.
ISSN:0375-9172