7. 当院における脳分離体外循環
【緒言】当院では上行大動脈人工血管置換術において2009年9月より逆行性脳灌流を症例によって採用している. 症例数は少ないが, 以前から採用している順行性脳灌流と比較をしたので報告する. 【対象】2008年4月から2010年3月までに施行された上行大動脈人工血管置換術8例で順行性群(以下S群)5例, 逆行性群(以下R群)3例を対象とした. 【方法】S群は直腸温25℃で腕頭動脈, 左総頚動脈に内腔よりカニューレを挿入しFlowはそれぞれ, 400mL/min, 300mL/minとし, 右橈骨動脈圧, 左総頚カニューレ先端圧を共に40mmHg程度に保持した. R群は直腸温22℃で上大静脈脱血カニ...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2010, Vol.37 (4), p.457-457 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【緒言】当院では上行大動脈人工血管置換術において2009年9月より逆行性脳灌流を症例によって採用している. 症例数は少ないが, 以前から採用している順行性脳灌流と比較をしたので報告する. 【対象】2008年4月から2010年3月までに施行された上行大動脈人工血管置換術8例で順行性群(以下S群)5例, 逆行性群(以下R群)3例を対象とした. 【方法】S群は直腸温25℃で腕頭動脈, 左総頚動脈に内腔よりカニューレを挿入しFlowはそれぞれ, 400mL/min, 300mL/minとし, 右橈骨動脈圧, 左総頚カニューレ先端圧を共に40mmHg程度に保持した. R群は直腸温22℃で上大静脈脱血カニューレ先端圧を20mmHg以下になるようFlowをコントロールし, 両群間における総体外循環時間, 大動脈遮断時間, 体循環停止時間, 脳灌流時間と術後新たな脳梗塞の有無を比較した. 脳梗塞の評価は放射線科医師の評価である. 【結果】総体外循環時間, S群330.5±155.5分, R群239.5±52.5分, 大動脈遮断時間, S群230±107分, R群166±25分, 体循環停止時間, S群41±10分, R群27.5±95分, 脳灌流時間, S群25±11分, R群24.5±10.5分であった. 術後新たな脳梗塞はS群5例中2例, R群3例中0例(1例は評価不能)であった. 【考察】脳灌流時間は両群共に約25分であるにもかかわらず, その他の総体外循環時間, 大動脈遮断時間, 体循環停止時間はR群が短縮した. これは対象数が少ない事やその他の手技の時間の影響もあるが, 遠位部の吻合のしやすさが体循環停止時間を短縮し, さらには吻合の正確性から止血を原因とする各時間の短縮にもつながっているのではないかと考える. また, 術後脳梗塞においてS群の2例は, カニューレ挿入時や固定時, 脳灌流時にDebrisが混入したためと考えられるが, 送血温度の違いも少なからず影響しているのかもしれない. 当院において上行置換術における逆行性脳灌流は手術侵襲や術後脳梗塞を軽減できる可能生があるのではないかと考えられた. また, 体外循環回路において逆行性は順行性より回路構成がシンプルであり, 緊急時のプライミング時間の短縮や安全に対するストレスを軽減するメリットもあった. 【結語】今後も検討を続ける. |
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ISSN: | 0912-2664 |