S-2. 日本赤十字社医療センターにおける標準的体外循環法
【はじめに】 当施設では手術件数全体の約8割以上が新生児および小児の症例を行っている. しかし, 成人症例も年に数件あるため, 回路は手術症例に合わせた回路構成にすることができるようにしている. しかし, 経験の少ない技士でも安全に業務を遂行できるように, シンプルな人工心肺業務の構築を進めてきた. 【装置の構成】 人工心肺装置HAS-R(泉工医科工業)を使用し, 全症例ローラーポンプ送血を行っている. 脱血は, オクルーダー, メラ電動レギュレータHAS-REのほかに, 脱血量の微調整のために電動エレベータを同時に使用し, 新生児症例の微調整を複雑な操作を必要としないで行っている. 【回路】...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2010, Vol.37 (3), p.377-378 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 当施設では手術件数全体の約8割以上が新生児および小児の症例を行っている. しかし, 成人症例も年に数件あるため, 回路は手術症例に合わせた回路構成にすることができるようにしている. しかし, 経験の少ない技士でも安全に業務を遂行できるように, シンプルな人工心肺業務の構築を進めてきた. 【装置の構成】 人工心肺装置HAS-R(泉工医科工業)を使用し, 全症例ローラーポンプ送血を行っている. 脱血は, オクルーダー, メラ電動レギュレータHAS-REのほかに, 脱血量の微調整のために電動エレベータを同時に使用し, 新生児症例の微調整を複雑な操作を必要としないで行っている. 【回路】 予定灌流量1,300mL/min以下はSS回路, 1,000~2,500mL/minはS回路, 2,500mL/min以上はL回路を使用している. 人工肺もこれに合わせ, RX-05, RX-15, RX-25をそれぞれに使用し, 選択が明確でわかりやすいシステムとしている. 【充填液】 新生児または重症例では, 計算式にて予想Ht 30%以上, 乳児・10kg未満の場合はHt 25%以上になるような充填液組成とし, 血液充填が必要な場合は執刀医に指示を仰ぐ. アルブミン製剤は回路内のAlb濃度を3.0~4.0g/dLに調整し, 抗凝固剤はヘパリンを10mg使用し, ポンプ開始直後のACTが400~550秒になるように調整している. NaHCO3は, 体重2kg以下では5.0mL/kg, 2~5kgでは2.5mL/kg, 5~10kgでは2.5mL/kg, 10kg以上では20mLとし, メイロン補正量(mL)=体重(kg)×BE/4の計算式にて適時補正している. 抗生物質はユナシンを30mg/kg使用する. 【輸血基準】 無輸血を目標とした症例では, 予想Htより低下した場合, 輸血の判断は, 十分な灌流量および適切なFiO2管理下であってもSvO2が60%以下, Lactate値の上昇があれば麻酔医および執刀医と相談して輸血を決定する. 【Dilutional Ultrafiltration】 当施設では, 開心術中の人工心肺により産生される炎症性反応物質の除去を目的にDUFを積極的に施行している. DUFの置換液には, 以前は乳酸リンゲル液を使用していたが乳炭酸リンゲル液に変更したことでアシドーシスの補正は減少し管理は容易になった. 【モニタリング】 橈骨または大腿動脈圧, 中心静脈圧, SpO2などのバイタルサイン, CDIにてSaO2, SvO2, PH, HCO-3, Ht, Hbなどを監視している. 【考察】 新生児および小児の人工心肺操作は, 成人に比べて脱血・送血操作および水分, 電解質バランスなどの微調整が必要とされるため, 経験の少ない技士にとっては非常に難しい. また, 人工心肺操作は失敗が許されないため, 経験の少ない技士に限らず人工心肺操作はできるだけシンプルにし, 失敗をゼロに限りなく近づけることが重要と考える. 【結語】 複雑なシステムを少しでも簡単にし, 誰でもが安全・確実に操作できるシンプルなシステムを構築することが今後の課題である. |
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ISSN: | 0912-2664 |