8. 新生児ECMOの長期安全管理に対する対策

【目的】 従来のECMO装置では, 施行中の視点移動が多く, また回路交換の安全性に問題があり, 更に, ECMO管理にICU看護師も参加するようになった. そのため, 回路変更と管理方法について再検討した. 【回路変更と管理方法】 心筋保護用の装置をECMO装置に改良し, 補助循環カートを作製した. ECMOの管理は, 管理マニュアルを作成し, 管理方法を統一した. 更に, ICU看護師にECMOの基本回路, 導入時の流れ, 管理およびトラブルの実演などの勉強会を行った. 【結果】 心筋保護用の装置をECMO装置に改良した結果, 回路がコンパクトになり観察が容易になり, 1人でも容易に移動することが可能となった. 更に, 予期せぬ回路閉塞時の危険性の回避, 特に, ダブルポンプになったことでポンプ交換時のポンプチューブの掛け替え作業が不要となった. これらの変更により, 準備から回路組み立てまでの時間を約5分程度削減できた. また, 補助循環カートを作製したことにより, 必要物品の準備時間も削減できた. この他に統一した管理方法により, 最高138日という長期に渡って安全にECMO管理を行うことができた. 【考察】 基本的に補助循環は早期離脱を目指すが, 長期の管理が必要になる症例も多く, 長期間安全に管理を行わなければならない. 今回の回路変更により, 準備時間の短縮は, 迅速な導入につながり患者の予後にも良好な影響を与えると考えられる. また, 回路交換でのポンプ入れ替え作業がなくなり, 移動などが1人でも容易に行えるようになったことで, 仕事の効率も向上した. 管理方法については, ICU看護師の管理は個人差があったが, ECMO管理マニュアルや勉強会により管理が統一できた. これらの, 回路変更と管理方法の改善により安全な長期管理を行うことができるようになったと考える. 【結論】 心筋保護装置を改良したECMO装置は, 回路交換が簡単になり安全に管理できる装置と考える. 今後も回路変更やECMO管理マニュアルを検討し, よりよいECMO管理を目指したいと考える.