1. 人工心肺離脱直後の回路内凝固の経験
【目的】体外循環(CPB)回路内血栓は重篤な障害を起こす危険性を含んでいる. 人工心肺離脱後, プロタミン投与開始, 予定量の50%が投与された時点で再出血をおこし投与中止し, 心腔内吸引血を人工心肺回路内に戻し送血を行っていたところ回路内凝固を起こし送血不能となりPCPSに移行した症例を経験したので報告する. 【症例】2008年6月 定例手術 症例:上行弓部大動脈瘤, 大動脈弁閉鎖不全症 術式:上行弓部人工血管置換・AVR, 人工心肺回路:メラ大人用ヘパリン, 人工肺:メラNHPエクセランプライムHPO-23H-C, 静脈リザーバー:メラNHPエクセランHNR-4NF, カーディオトミーリザ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2010, Vol.37 (1), p.59-59 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 【目的】体外循環(CPB)回路内血栓は重篤な障害を起こす危険性を含んでいる. 人工心肺離脱後, プロタミン投与開始, 予定量の50%が投与された時点で再出血をおこし投与中止し, 心腔内吸引血を人工心肺回路内に戻し送血を行っていたところ回路内凝固を起こし送血不能となりPCPSに移行した症例を経験したので報告する. 【症例】2008年6月 定例手術 症例:上行弓部大動脈瘤, 大動脈弁閉鎖不全症 術式:上行弓部人工血管置換・AVR, 人工心肺回路:メラ大人用ヘパリン, 人工肺:メラNHPエクセランプライムHPO-23H-C, 静脈リザーバー:メラNHPエクセランHNR-4NF, カーディオトミーリザーバー:HCR-2, 遠心ポンプ:メラDuraflo II G HPM-15G.人工心肺停止20分前のACTは427secでヘパリン1,000単位を追加. 【方法】出刀医師の申し出により泉工医科工業株式会社に原因究明のため人工心肺回路, 人工肺, 静脈リザーバー, カーディオトミーリザーバーは分解調査, 遠心ポンプ, 動脈フィルターは外観調査を依頼した. 【結果】体外循環時間235分, 大動脈遮断時間120分, 循環停止時間47分, 最低直腸温21.8℃であった. 人工肺熱交換部の血液出口側と静脈リザーバーフィルター下方外側, 動脈フィルターに粘性の高い状態の多量の血栓が確認された. 酸素加部, 中空糸表面からも血栓の付着が確認された. 【考察および結語】人工肺中空糸表面をデジタルマイクロスコープにて観察した結果, ゼリー状の血栓が層全体を覆っていた. プロタミンを吸引したことにより凝固能が促進されたものと考えられる. 再出血, 血行動態の不安定も十分予測され, 安全性を維持するためには, 常時血栓化する可能性があることを念頭に置き, CPB終了後も速やかに再CPBに備えることが重要であると考える. |
---|---|
ISSN: | 0912-2664 |