7)災害医療
平成22年2月6日(土)に徳島県鳴門市・大塚スポーツパークにて実施された大規模な防災訓練に, 日本医科大学救命救急センターの医師・看護師が参加するにあたり, われわれ3名の学生はオブザーバー(見学者)として訓練に参加させていただき, 災害現場における救急医療の実際を目の当たりにした. 実際に訓練を通して数多くのことを身をもって体感できたが, その一部を皆に紹介したく, 抄録としてまとめさせていただくことにする. 今回の事件のシナリオは, 観客が多数いる場所(ポカリスエットスタジアム)でテログループがサリンを爆破散布し多くの負傷者が生じるというものであった. 負傷者救出のためには, 単純にスタジ...
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Veröffentlicht in: | 日本医科大学医学会雑誌 2010, Vol.6 (4), p.233-234 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 平成22年2月6日(土)に徳島県鳴門市・大塚スポーツパークにて実施された大規模な防災訓練に, 日本医科大学救命救急センターの医師・看護師が参加するにあたり, われわれ3名の学生はオブザーバー(見学者)として訓練に参加させていただき, 災害現場における救急医療の実際を目の当たりにした. 実際に訓練を通して数多くのことを身をもって体感できたが, その一部を皆に紹介したく, 抄録としてまとめさせていただくことにする. 今回の事件のシナリオは, 観客が多数いる場所(ポカリスエットスタジアム)でテログループがサリンを爆破散布し多くの負傷者が生じるというものであった. 負傷者救出のためには, 単純にスタジアムから観客を避難させて負傷者を治療するだけではなく, 汚染区域(ウォームゾーン)と汚染されていない区域(コールドゾーン)で分け, 汚染された人はコールドゾーンに入る前に必ず除染させることが被害の拡大を防ぐ意味で重要である. もう1つ重要なのはstart法に基づいてトリアージを行って重症度によって治療の優先順位をつけることである. また, 観客の避難や犯人の追跡なども当然伴ってくるため, それらのことを円滑に遂行するためには消防, 県警, 自衛隊, 医師, 看護師などが協力体制を築かなければならず, おのずと災害医療の知識とそれを実行するための訓練が必要となってくる. 訓練については実際に参加しないとイメージをつかむのは難しいが, ここではせめて基本となる災害医療の原則について発表させていただくことにする. 災害医療の原則として, CSCATTTがある. これは, Comand(指揮命令), Safety(安全), Communication(情報伝達), Assessment(現場評価), そしてTriage(トリアージ), Transportation(搬送), Treatment(治療)の頭文字である. まず, Comand(指揮命令), Safety(安全), Communication(情報伝達), Assessment(現場評価)においては医療指揮官がそれぞれの責任を負うことになる. Comand(指揮命令)とCommunication(情報伝達)は今回の訓練の要となるもので, 事前に細かく時間設定をしたうえで実施した. Triage(トリアージ)は最短の時間で重症患者から応急処置を行うために重傷者順に赤, 黄, 緑(死傷者は黒)に分類することをいうが, 今回のように除染(Decontamination)を伴う場合はPre Decon TriageとPost Decon Triageを行う. また, 観客の救出からトリアージ(Pre Decon Triage, Decontamination, Post Decon Triage)を経て病院への搬送をするまでが一連の流れとなるように, それぞれの収容テントと救急車が一直線になるように設営を行う. 以上のことは今回の訓練の模様を記録した写真を見るとよりわかりやすいと思われる. |
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ISSN: | 1349-8975 |