P-56)蝶頬骨縫合固定を用いた粉砕型頬骨骨折の症例

目的:多発顔面骨骨折に対して眼窩内側より蝶頬骨縫合固定により固定する方法が2002年Roherらにより報告され, 当科ではこれを応用し側頭窩から蝶頬骨縫合の固定を行っている. 粉砕型頬骨骨折でも前頭頬骨縫合・眼窩下縁・頬骨下稜の支柱構造の粉砕をしていることが多く, 術後の頬部陥凹が残存することが多い. 今回, 蝶頬骨縫合固定を併用した粉砕型頬骨骨折の症例を経験したのでこれを報告する. 対象および方法:症例は, 50歳の男性で塗装作業中に2階の屋根から転落し, 右顔面および腰部を強打し他院へ搬送された. 骨盤骨折, 外傷性クモ膜下出血, 右頬骨骨折を認め加療目的にて当院高度救命救急センターへ転院...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本医科大学医学会雑誌 2010, Vol.6 (4), p.230-230
Hauptverfasser: 秋山豪, 江浦重義, 大木更一郎, 百束比古
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的:多発顔面骨骨折に対して眼窩内側より蝶頬骨縫合固定により固定する方法が2002年Roherらにより報告され, 当科ではこれを応用し側頭窩から蝶頬骨縫合の固定を行っている. 粉砕型頬骨骨折でも前頭頬骨縫合・眼窩下縁・頬骨下稜の支柱構造の粉砕をしていることが多く, 術後の頬部陥凹が残存することが多い. 今回, 蝶頬骨縫合固定を併用した粉砕型頬骨骨折の症例を経験したのでこれを報告する. 対象および方法:症例は, 50歳の男性で塗装作業中に2階の屋根から転落し, 右顔面および腰部を強打し他院へ搬送された. 骨盤骨折, 外傷性クモ膜下出血, 右頬骨骨折を認め加療目的にて当院高度救命救急センターへ転院, その後頬骨骨折の手術目的にて当科転科となった. 手術は, 右冠状切開・眼窩下縁切開・口腔前庭切開によりアプローチし, 前頭頬骨縫合・蝶頬骨縫合次いで眼窩下縁・頬骨弓を固定したが頬骨体本体も中央部で骨折を伴い頬骨下稜は骨欠損を合併していた. 術後は良好な頬骨の固定を得られた. 結果:粉砕型頬骨骨折では, 頬骨体自体にも骨折線があり眼窩下縁, 頬骨下稜などの支柱構造も粉砕していることが多い. 今回の症例では蝶頬骨縫合の固定を追加することで頬骨と前頭骨の立体的な再建が良好にできその後の整復固定も簡易となった. 術後の画像でも, 頬骨および頬骨弓の形態は良好に保たれていた. 前頭頬骨縫合固定にさらに側面の蝶頬骨縫合の固定を追加することで頬骨体の陥凹・捻れを予防できたものと考えた. 考察:粉砕型頬骨骨折に対して蝶頬骨縫合の固定を追加することで頬骨の固定力が増し立体的な再建が容易となると考えられた.
ISSN:1349-8975