29.ストレス解放後,夜間に空腹・過食を呈したインスリン抵抗性の1例(一般演題,第47回日本心身医学会九州地方会演題抄録(2))

目的:インスリン抵抗性の原因にはさまざまな要因がありストレスもその1つと考えられている. 今回ストレスの影響で一過性のインスリン抵抗性を呈した1例について病態と治療経過から, その問題を明らかにした. 症例:71歳, 男性, 無職. 家族歴:同居中の女性と2人住まい. 主訴:“私の空腹センサーが壊れた”. 現病歴:X-1年12月, 永年の悩みが解決してほっとしていた. X年1月下旬より, 夜間に空腹を自覚し過食傾向が出現, 2ヵ月間で体重は5kg増加した. 某医で検査を受けたが原因不明のため同年3月26日当院紹介となる. 早速インスリノーマを疑い, 75gOGTTを施行した結果, preBS...

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Veröffentlicht in:心身医学 2009/11/01, Vol.49(11), pp.1224
Hauptverfasser: 野添, 新一, 吉牟田, 直孝, 吉牟田, 直
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:目的:インスリン抵抗性の原因にはさまざまな要因がありストレスもその1つと考えられている. 今回ストレスの影響で一過性のインスリン抵抗性を呈した1例について病態と治療経過から, その問題を明らかにした. 症例:71歳, 男性, 無職. 家族歴:同居中の女性と2人住まい. 主訴:“私の空腹センサーが壊れた”. 現病歴:X-1年12月, 永年の悩みが解決してほっとしていた. X年1月下旬より, 夜間に空腹を自覚し過食傾向が出現, 2ヵ月間で体重は5kg増加した. 某医で検査を受けたが原因不明のため同年3月26日当院紹介となる. 早速インスリノーマを疑い, 75gOGTTを施行した結果, preBS 103mg/dl, IRI 61.1μu/ml, 120分後BS 129, IRI 369と高値であった. 血液検査ではNa, Clが低値でKは高値を示した. 同年4月12日, 18日に空腹感を訴えて来院, その時のIRIは17.1, 15.8と軽度上昇, 血糖は正常域であった. 他方患者は高血圧に対して過度のとらわれがあり, 手首に携帯血圧計を装着していた. 日頃は減塩食を実践し, 1日2lの飲水と1万2千歩の散歩, 常用薬のほかに血圧値に応じた降圧剤を頻回服用していた. また健康不安を抱き数ヵ月ごとにCTやPET検査を受けていた. 4月12日に測定の血漿レニン値は7.6U/mlと高値を呈し, 血圧低下が示唆された. 治療は血圧や服薬に関する説明など健康指導を行ったところ心身安定をきたした. 5月10日の75gOGTTではpreBS 96mg/dl, IRI 10.0μU/ml, 120分はBS 158, IRI 116.5, 180分BS 91, IRI 55.7と略正常域となり, 自覚的にも改善した. 結論:インスリン抵抗性の発症にストレス因子の関与は明らかであった. また誤った健康行動が病態の複雑化と異常をきたし, さらに不安を増大させていた. 高齢者に対する心身両面からの指導は必須である.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.49.11_1224_2