心身症としての成人気管支喘息の診断・治療ガイドラインの試み
成人気管支喘息に関して, 心身症の観点からの診断基準と治療ガイドライン作成を試みた. 心身医学の専門医からみて納得のいくものであり, かつ非専門医にも使用可能なものを目指した. 診断基準は, 以前に精神神経疾患委託研究の呼吸器グループで心身症の頻度調査用に作成した質問表をもとに, より簡略化して作成し, さらに基準判定にあたって患者に聞く質問を患者向け調査用紙として作成した. 次にこの基準項目と調査用紙を成人喘息患者に対して実際に適用し, 必要項目を検討した. すなわち心身症診断基準の大項目として, 1)発症にストレスが先行, 2)現在の症状とストレスが相関, 3)心理療法による改善, 4)予...
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Veröffentlicht in: | 心身医学 2003/05/01, Vol.43(5), pp.291 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 成人気管支喘息に関して, 心身症の観点からの診断基準と治療ガイドライン作成を試みた. 心身医学の専門医からみて納得のいくものであり, かつ非専門医にも使用可能なものを目指した. 診断基準は, 以前に精神神経疾患委託研究の呼吸器グループで心身症の頻度調査用に作成した質問表をもとに, より簡略化して作成し, さらに基準判定にあたって患者に聞く質問を患者向け調査用紙として作成した. 次にこの基準項目と調査用紙を成人喘息患者に対して実際に適用し, 必要項目を検討した. すなわち心身症診断基準の大項目として, 1)発症にストレスが先行, 2)現在の症状とストレスが相関, 3)心理療法による改善, 4)予期不安による増悪, を挙げた. また小項目として, 1)生活習慣の乱れ, 2)受療行動, 3)多愁訴, 4)難治, 5)疾病逃避, 6)アレキシサイミア, 過剰反応, 7)生きがいがない, 寛ぎがない, 8)心理テスト, 9)生育歴を挙げた. 治療ガイドラインとしては, すでにあるアレルギー学会の喘息治療ガイドラインを基礎にし, 心身医学的側面の補完を行う. すなわち心身症と診断される喘息症例においても, 喘息治療ガイドラインに従い, ステロイド剤の吸入やピークフローによる管理でコントロール良好な症例では, 気管支喘息の原因に関する教育指導を紹介するにとどめ, 患者の心理社会的背景にまで言及しなくてもよいと考える. 一方, 喘息コントロールが不十分な症例では, 喘息増悪の原因への配慮がさらに必要であり, 喘息の原因に関する教育指導を患者の生活に密着して行う. そして心身症である場合には, 先の心身症診断用調査用紙を参考にしながら心身医学的治療に導入する. 具体的には, 1)良好な医師‐患者関係の確立を目指して薬物で症状を治め, 原因となるアレルギー, 感染, 心理的ストレス, 体質改善等に関する教育指導を行い, 心身両面からの治療の必要性を説明し患者の意見を傾聴し, 喘息治療に向けてともに歩む信頼関係を作る, 2)患者のストレス, ライフスタイル, 受療行動と発症, 症状との関連をみることにより心身相関の理解を目指す, 3)ストレスを生じやすい認知や行動, 非効率な受療行動を, 現実に合った認知や適応行動に変えていく, 4)ステロイド吸入, ピークフロー管理等を用いながら, 心身両面から喘息のセルフコントロールを目指す. |
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ISSN: | 0385-0307 2189-5996 |
DOI: | 10.15064/jjpm.43.5_291_1 |