26. 小児の身体にフィットするクーリングカバーの検討-従来のカバーを改良して

小児は, 体温中枢の未熟さなどから, 容易に発熱しやすく, 自覚症状も発生しにくい. 児の多くは, 解熱剤を使用せず, クーリングで経過を見る症例が多い. 児にとって静かに臥床することは, 児の遊びや抱っこの基本的欲求の制限になりかねない. 当病棟では以前より, クーリングカバーによる背部の冷罨法を行っている. しかし今回の素材の吸湿性, 通気性, 耐久性に疑問を感じ, また, 児の体動により, 容易にカバーのずれが生じやすく, 効果的なクーリングが得られないと感じた. そこで, 従来のクーリングカバーの素材の検討, 改良, 作製を試みた. 〔目的〕1. 児の体動を制限せず, 充分な効果が得ら...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2004, Vol.53 (4), p.709-710
Hauptverfasser: 湯沢智子, 佐藤律子, 松本奈津恵, 塩沢久恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児は, 体温中枢の未熟さなどから, 容易に発熱しやすく, 自覚症状も発生しにくい. 児の多くは, 解熱剤を使用せず, クーリングで経過を見る症例が多い. 児にとって静かに臥床することは, 児の遊びや抱っこの基本的欲求の制限になりかねない. 当病棟では以前より, クーリングカバーによる背部の冷罨法を行っている. しかし今回の素材の吸湿性, 通気性, 耐久性に疑問を感じ, また, 児の体動により, 容易にカバーのずれが生じやすく, 効果的なクーリングが得られないと感じた. そこで, 従来のクーリングカバーの素材の検討, 改良, 作製を試みた. 〔目的〕1. 児の体動を制限せず, 充分な効果が得られるクーリングカバーの作製, 2. 吸湿性通気性耐久性にすぐれたカバーの作製. 〔方法〕1. 従来使用中のクーリングカバーに関するスタッフ, 母親へのアンケート調査, 2. 問題点の抽出, 3. 問題点を考慮し, 改良したクーリングカバーの作製, 4. 改良したクーリングリックを使用したスタッフ, 母親からの感想を聞き問題点を抽出, 5. 4. の結果をもとに再度クーリングカバーの改良, 作製. 〔成績〕1. 表がポリエステル, 裏がタオルの薄い1枚の布地を使用, 2. 肩ひもの固定を強化するため, 布と布の間に挟み縫い付けた, 3. 肩, 胸のひもを5cm 下方に縫い付けた作品を児に使用した結果, 裏がタオル地のため寝衣を濡らす事なく冷却出来, また, 肩, 胸のよじれがなくなり固定出来た. さらにひもの位置を変えることで, アイスノンが背部で固定され, オムツ交換がスムーズになった. 小児の冷罨法については, 文献も限られており, 病院独自の方法を用いているところが現状である. 実際に使用した結果は, 点滴療法や内服療法も併用していたため, 有効であったかどうか明確ではないが, 児の遊びたい, 抱っこして欲しいという基本的欲求に関しては, 疎外する事なく経過することが出来た. アンケートの結果, 乳児に対しては, 成長に個人差があるため, 肩ひもの長さが調節しやすいように, マジックテープを長く付ける必要性があるとの意見が聞かれ, 有効に使用するためには, さらなる改良が今後の課題となっている. 〔結論〕従来のクーリングカバーの問題点を考え, マジックテープを用いることで, 着脱が容易に出来, また, 布を厳選することで児への不快感が緩和された. 今後も, 安全で快適に活用されるよう, さらなる工夫を重ねていきたい.
ISSN:0468-2513