12. MRSA感染率に及ぼす抗生物質, 消毒液, 病室感染防止対策, 季節の影響の検討
〔目的〕MRSA 感染の低減策を探る目的で当院の平成7~8年(I~IV期)の3病棟群A, B, C におけるMRSA 感染率, 抗生物質使用状況, 病室の対応度, 消毒液, 季節変動を検討した.〔方法〕MRSA 感染率は月末の陽性者/平均入院者の%で表した. 抗生物質量は各剤の1日標準量の月あたりの使用数(/入院患者)で表し, 総量(T), セフェム系第三世代, MRSA治療のためのvancomycin, arbekacin(V+A), その他に分けて調べた. 病室の対応度は医師の説明, 家族への実地指導, 面会制限, 隔離度, 手洗い度の5項目に各2点まで与えて評価した(10点満点). 消毒...
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Veröffentlicht in: | 日本農村医学会雑誌 1999, Vol.47 (6), p.897-898 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔目的〕MRSA 感染の低減策を探る目的で当院の平成7~8年(I~IV期)の3病棟群A, B, C におけるMRSA 感染率, 抗生物質使用状況, 病室の対応度, 消毒液, 季節変動を検討した.〔方法〕MRSA 感染率は月末の陽性者/平均入院者の%で表した. 抗生物質量は各剤の1日標準量の月あたりの使用数(/入院患者)で表し, 総量(T), セフェム系第三世代, MRSA治療のためのvancomycin, arbekacin(V+A), その他に分けて調べた. 病室の対応度は医師の説明, 家族への実地指導, 面会制限, 隔離度, 手洗い度の5項目に各2点まで与えて評価した(10点満点). 消毒薬量は病棟毎に4半期毎の使用量(l/患者・月)を調べた. また感染の動向の要因(新感染, 継続感染, 治癒, 入退院, 死亡)(該当者数/総患者数)を調べた.〔結果〕MRSA 感染率はI期約15%からII期約10%に低下したが, III, IV期は約18%に上昇した. 群別にみるとA ではIII, IV期で著明に上昇, B ではII期で低下. しかしC ではほとんど変化しなかった(図). つまり季節的変動は認められなかった. 各月の全群のMRSA 感染率と各要因との相関の検討結果は表のようで, 感染の要因での検討は, 新感染, 継続感染, 治癒, 入退院, および死亡のいずれも感染率との相関は認められなかった. 病室対応度(点数)も感染率との相関はなかった. 抗生物質では第三世代およびV+A は感染率との間にかなりの相関があった. またその他で最も強い逆相関を認めた. 消毒液量は相関しなかった.〔考案〕今回の検討で, 感染率の変動要因には有力なものは見出せなかった. 病室対応度, および消毒液量も感染率の変動には直接関連はない. しかし, 抗生剤の使用, とくに第三世代, V+A, その他に有意の相関を認めた. V+Aについては, MRSA の原因ではなく結果と考えられる. 第三世代で相関傾向を認め, その他で強い有意の逆相関が見られたことは, 第三世代の非使用, その他の第一・第二世代セフェムを含む抗生剤の使用が, MRSA 感染に抑制的に働くことを示すと考えられる.〔結論〕検討の範囲で, MRSA 感染低減には抗生剤の使用への配慮が大切であり, 消毒液使用や病室の感染防止対策は一義的意義はなく, 季節は感染率に一時的影響を与えない. |
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ISSN: | 0468-2513 |