特発性食道破裂を生じた重症妊娠悪阻の一例
特発性食道破裂はまれな疾患だが, 重症化すると致命的となるため, 早期診断・治療が重要である. 今回我々は, 妊娠悪阻に特発性食道破裂を合併した症例を経験したため報告する. 症例は26歳, 1妊0産, 妊娠悪阻のため前医を受診し, 頻回の嘔吐と前胸部痛が増悪したため当科へ紹介となった. 来院時, 前胸部皮下の握雪感と圧痛を認め, 胸部単純X線写真で皮下気腫, 縦隔気腫を認めた. 血液検査では, 白血球数11400/μl, CRP 0.86mg/dlと上昇し, Na 120mEq/l, K 2.4mEq/lと電解質異常を認めた. 画像所見, 頻回の嘔吐歴から食道破裂が強く疑われたが, 発熱はなく...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2022-06, Vol.71 (2), p.311-316 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 特発性食道破裂はまれな疾患だが, 重症化すると致命的となるため, 早期診断・治療が重要である. 今回我々は, 妊娠悪阻に特発性食道破裂を合併した症例を経験したため報告する. 症例は26歳, 1妊0産, 妊娠悪阻のため前医を受診し, 頻回の嘔吐と前胸部痛が増悪したため当科へ紹介となった. 来院時, 前胸部皮下の握雪感と圧痛を認め, 胸部単純X線写真で皮下気腫, 縦隔気腫を認めた. 血液検査では, 白血球数11400/μl, CRP 0.86mg/dlと上昇し, Na 120mEq/l, K 2.4mEq/lと電解質異常を認めた. 画像所見, 頻回の嘔吐歴から食道破裂が強く疑われたが, 発熱はなく全身状態が安定していたため, 保存的加療を選択した. 絶食の上, 中心静脈栄養を開始し, 抗菌薬とプロトンポンプ阻害剤の投与を行った. 発熱はなく経過し, 白血球数, CRPは徐々に低下した. また, 嘔吐回数は減少し, 全身状態の増悪なく経過したため, 第9病日より少量の飲水を開始した. 第11病日に撮影した胸部単純X線写真で皮下気腫, 縦隔気腫像は消失し, 第14病日に施行した上部消化管内視鏡検査で瘢痕化した裂傷部を認め, 特発性食道破裂と確定診断した. 第15病日より食事を開始し, 症状が改善したため, 第36病日に自宅退院となった. 妊娠期に発症した特発性食道破裂は少数のみ報告されているが, 妊娠悪阻によるものが多く, 早期に診断できれば本症例のように保存的加療のみで予後良好となる場合が多い. 妊娠悪阻に前胸部痛を合併する症例では, 特発性食道破裂を鑑別にあげ, 早期に診断・治療することが重要である. |
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ISSN: | 1882-482X |