術前に診断し得た卵巣広汎性浮腫の一例

卵巣広汎性浮腫は, 若年女性に多く発症する稀な非腫瘍性病変である. 卵巣充実性腫瘍との鑑別が重要であるが, 確立した診断基準がなく, 術前診断は極めて困難である. 今回, 術前に診断し得た卵巣広汎性浮腫を経験したので報告する. 症例は37歳, 2妊2産. 右腎癌で腹腔鏡下右腎摘出術を施行した8ヶ月後のCTで, 長径55mmの右卵巣腫瘤を指摘された. 骨盤MRI検査では, 腫大した卵巣辺縁に多数の嚢胞性病変を認めた. CA19-9は6.3U/ml, CA125は7.7U/mlと腫瘍マーカーは正常値であった. 卵巣広汎性浮腫を疑い, 確定診断のため腹腔鏡手術を施行した. 術中迅速病理組織検査で卵巣...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2021-12, Vol.70 (1), p.37-41
Hauptverfasser: 澤田真由美, 小松宏彰, 高橋正国, 佐藤絵理, 田代稚恵, 入江隆, 紀川純三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:卵巣広汎性浮腫は, 若年女性に多く発症する稀な非腫瘍性病変である. 卵巣充実性腫瘍との鑑別が重要であるが, 確立した診断基準がなく, 術前診断は極めて困難である. 今回, 術前に診断し得た卵巣広汎性浮腫を経験したので報告する. 症例は37歳, 2妊2産. 右腎癌で腹腔鏡下右腎摘出術を施行した8ヶ月後のCTで, 長径55mmの右卵巣腫瘤を指摘された. 骨盤MRI検査では, 腫大した卵巣辺縁に多数の嚢胞性病変を認めた. CA19-9は6.3U/ml, CA125は7.7U/mlと腫瘍マーカーは正常値であった. 卵巣広汎性浮腫を疑い, 確定診断のため腹腔鏡手術を施行した. 術中迅速病理組織検査で卵巣広汎性浮腫の診断であり, 右卵巣部分切除のみで手術を終了した. 永久標本組織結果も同様の結果であった. 術後右卵巣腫大は縮小し, 増大傾向なく経過した. 確立した診断基準はないが, 特徴的な画像所見および臨床症状から卵巣広汎性浮腫を疑うことができれば, 腹腔鏡手術で卵巣を温存することが可能である.
ISSN:1882-482X